黒部五郎岳は富山県と岐阜県にまたがって位置する山です。「中ノ俣岳」や「鍋岳」という別称もあります。
北アルプス立山連峰に属し、標高は2840m、中部山岳国立公園に属し日本百名山に選ばれています。
黒部川の源流であり、豊かな自然を感じられる山として多くの登山家に愛される山です。
この記事に書いてあること
黒部五郎岳について・概要
黒部五郎岳は山腹にカール地形が見られ、これは氷河時代に氷河によって侵食されたものです。
広い範囲で岩場があり、岩場を表す「ゴーロ」が五郎となまり、山名の由来ともなっているそうです。
山頂には人工的に積み上げられたような岩が積み上げられ、森林限界となった山腹のあちこちに大きな岩が散乱し、この山の特徴の一つにもなっています。
登山の人気シーズンは?
黒部五郎岳の登山シーズンは短く、人気なのは6月中旬から8月下旬までの夏山です。
この頃には高山植物が開花し、お花畑が見られます。
積雪期が長く、夏山になる季節まで残雪が残ります。
平均気温も低いので、十分に気温が上昇しはじめた頃に登山客も増えます。
この山の魅力
山頂からは薬師岳・立山・野口五郎岳・槍ヶ岳などが望める大パノラマが広がります。
黒部五郎岳は高山植物も豊富で、タテヤマリンドウ・ワタスゲ・ハクサンイチゲ・イワイチョウ・シナノキンバイ・シャクナゲといった花が咲き乱れる様子は楽園を思わせます。
山腹に見られる池塘の幻想的な風景も黒部五郎岳の見どころの一つです。
オコジョやライチョウ、アズマヒキガエルといった、都会では見られない希少動物も登山途中に目にすることができます。
登山のレベル
黒部五郎岳はどの登山口から登ってもルート距離がかなり長くなり、体力面だけを見ても上級者向けの山だといえます。
ルート距離が長く、また標高が3000m近いという条件が重なることで、高山病発症の危険性も高まります。
経験の浅い初心者登山者は、体力面で限界を感じたら迷わずリタイヤする判断力が必要です。
また、登山道にも岩場が多く、大雨が降ると川のようになり行く手を阻むこともあります。
山里とアクセス道路からかなり離れているので、ソロ登山には向かない山です。
主な登山ルート
黒部五郎岳は登山ルートの距離が長く、経験の浅い人ほど日帰りは難しくなります。
宿泊登山向きの登山ルートをいくつか挙げておきます。
新穂高温泉駅~黒部五郎岳3泊4日ルート
新穂高温泉駅をスタート、秩父沢出合を経て鏡平山荘で1泊目。
2日目は双六岳から三俣蓮華岳へ縦走し黒部五郎小舎で2泊目。
3日目は中俣乗越から太郎平小屋へ向かい3泊目。
4日目に三角点から折立に下りてゴールします。
標高差3241m(登り)総距離37.9㎞、所要時間20時間になります。
新穂高温泉駅~黒部五郎岳縦走2泊3日ルート
新穂高温泉駅をスタートし、弓折乗鞍を経由、双六岳から黒部五郎小舎で1泊目。
2日目は三俣蓮華岳へ登頂し、同じルートを引き返すピストンルートです。
標高差3479m、総距離44.6㎞所要時間24時間になります。
冬山登山はできる?
冬の黒部五郎岳は完全に雪に閉ざされる銀世界に変貌します。
北アルプスの山々は冬になると極端に危険度が増すことが多いですが、黒部五郎岳も例外ではありません。
黒部五郎岳に冬にやって来る登山者のほとんどが上級者であり、また装備もプランも完璧に整えていどみます。
スキー登山が得意な登山者ならば黒部五郎岳はかなり楽しめる山だといえます。
山小屋情報
黒部五郎岳はたくさんの山小屋・山荘があり、宿泊機能を持つ大きなところが多いです。
- 黒部五郎小舎
- 場所:三俣蓮華岳
- 電話:0577-34-6268
- FAX:0577-32-1712
- 営業期間:7月10日~9月30日まで
まとめ
傾斜が強く登山ルートが長くなる黒部五郎岳は、技術と経験だけではなく強い脚力が要求される山です。
また、天候が変わってしまうと難易度と危険度が一気に高まってしまうので、登山を継続するかどうかの正しい判断ができることが安全に登るために必要なことです。