至仏山

至仏山は群馬県の北東に位置し、標高2228mを誇る高山です。日本百名山にも数えられる山容の素晴らしい山岳で、尾瀬国陸公園にあり、たいへん自然に恵まれています。

尾瀬ヶ原一体を見下ろせる展望の良さで登山人気が高く、また高山植物の数も豊富でめずらしい蛇紋岩植物の宝庫としても有名です。

地質の多くを占める蛇紋岩は非常に脆い性質で、一時期は崩壊の危険性から入山規制されていたこともありますが、現在では登山が可能になっています。




至仏山について・概要

至仏山は登山のためのアクセスが難しさが知られていましたが、近年の坤六峠と鳩待峠が整備されたことで登山口まで行きやすくなり、それに伴い登山客も増加傾向にあります。

天候の変化が激しく、整備された山道が多いわりに、遭難事故が多いことが問題視される山でもあります。

その名称から信仰の対象となる山岳と間違えられますが、「至仏」はこの地名「渋沢」の方言的な訛りから発展し、当て字をした結果生まれた名称です。

登山の人気シーズンは?

至仏山の登山シーズンは高山植物が見頃になる6月中旬から、紅葉が色づく11月いっぱいまでです。

周辺の尾瀬ヶ原と同様に自然保護が徹底されており、オゼソウやホソバヒナウスユキソウなどの希少な高山植物が見られる夏場に登山客と植物愛好家、写真愛好家がたくさん訪れます。

登山をするときに視界に入る景色が最も美しいのもやはり夏場が最高点となります。

この山の魅力

至仏山の魅力は2000m級の頂上から見下ろす広大な眺めと、「高山植物の宝庫」と言われるほどの自然の豊かさです。

この地方ではめずらしい蛇紋岩で構成されていることから、地質・地層ファンからも注目されるマニアックな魅力もあります。

たんに山深いというわけではなく、環境保護が進み整備されているので、整然とした清潔な印象を感じるのも至仏山ならではの特徴です。

洗練した自然の美しさから、撮影対象としてもよく利用されることでも知られています。

近年の道路整備によってアクセスも容易になり、夏場など天候の穏やかな季節であれば、軽装でも登山を楽しめるのも登山客が多い理由でしょう。

登山のレベル

至仏山の登山レベルは中級くらいです。

一部岩場もありますが、概ね整備されたきれいな登山道を進むので、特殊な登山テクニックは必要としません。

ただ、冒頭でも少し解説したように、至仏山は日本海と太平洋の風の通り道となっているため、天候が荒れやすい特徴があります。

トレッキング程度であれば大丈夫ですが、長い距離を設定した登山プランを考えている場合には装備の点検は怠れません。

主な登山ルート

至仏山自然環境保護が徹底されているので、登山口も限定されています。

そのため登山ルートもあまり多くはなく、また規制を守るためにもしっかりとルートを調べておく必要があります。

鳩待峠~至仏山往復ルート

的街峠の'登山口からオヤマ沢田代を抜け至仏山に登頂し、同じコースに折り返す往復ルートです。

元々あった頂上からの直線ルートを迂回するような軌跡をたどります。

標高差735m総距離9.5㎞、所要時間4時間程度になります。

山の鼻峠~至仏山~鳩待峠ルート

前述の鳩待峠の北側にある登山口山の鼻峠をスタートし、至仏山頂を踏破し、U字型に鳩待峠に下りるルートです。

こちらのルートの方が、多少傾斜のきつい山道を進むことになります。

標高差908m、総距離10.7㎞所要時間5時間弱になります。

冬山登山はできる?

至仏山は7月に山開きがあり11月で閉山します。

自動車の開通かこの山の地質である蛇紋岩の風化が急速に進んだことによる保護目的ですので、他の山のように山開き前でも登れるということはありません。

登山愛好家のモラルとしてこの規制は遵守するように心がけましょう。

山小屋情報

至仏山には複数の山小屋が設置されています。

ほとんど同じ場所に集中しているので、ここでは代表的な1件を挙げておきます。

  • 至仏山荘
  • 場所:山ノ鼻
  • 電話:0728-58-7311
  • FAX:0728-58-7636
  • 営業期間:4月下旬~10月中旬

まとめ

徹底した自然保護と肥沃な大地に群生する高山植物、また展望の素晴らしさでも人気の高い至仏山。

登山で訪れるときにも環境保護の意識を持ち、マナーを守って行動することを徹底してください。