
聖岳は静岡県と長野県の県境に位置する山です。標高は3013m、同じ三体の中に奥聖岳・小聖岳というピークを持ちます。
山名は山腹に流れる聖沢が「肘を曲げたような形状」をしていることから転化したものだという説が有力です。
山域は南アルプス国立公園に属し、日本百名山に選出されています。
山深い奥地にある聖岳ですが、登山の歴史が古く、意外なほどに登山客が訪れる山でもあります。
この記事に書いてあること
聖岳について・概要
聖岳は南側斜面に氷河の侵食によってできたカールがあり、周辺は崩落地です。
近隣の山の赤石岳と同様に、水分を含むと赤く変色をする岩「赤色チャート」が露出した場所も見られます。
山頂付近は森林限界なり、ハイマツ帯が広がり高山植物が群生します。
ニホンカモシカ・ニホンジカ・ライチョウなどの鳥獣も多く生息し、山麓から中腹までは深い針葉樹林に覆われる自然豊かな環境です。
登山の人気シーズンは?
聖岳は積雪期が終わり、残雪が残る4月の中旬から5月の現順頃に新緑が芽吹き始め、それとともに徐々に登山客が増えます。
最盛期は高山植物が咲き乱れ、お花畑が現れる6月から8月頃。
冬山になる時期が遅く、紅葉の時期は9月中旬くらいから1ヶ月ほどとなり、紅葉目当ての登山客でにぎわいます。
この山の魅力
聖岳は南アルプスの3000m超えの山では最南端に位置し、その標高の高さから展望の良さで知られています。
北西には中央アルプスの山々が、北西は富士山や関東山地を一目に収めることができ、稜線沿いに南アルプスが連なります。
標高2300m付近には広大な面積を持つ高山植物の繁殖域があり、花畑を目的とした登山客も多く訪れます。
梅雨の時期に降雨量が多く、遠山川の源流があることや天竜川の支流が流れることなど、豊富な水源があることも植物の繁殖しやすい理由です。
登山のレベル
聖岳の登山レベルは概ね上級です。
登山道は総体的には穏やかですが、アップダウンがあり山頂付近の大崩壊地はガレ場になり歩行しずらいと感じる人もいます。
南アルプスの山岳の中では比較的アクセスは良い方で、畑薙第一ダムからの送迎が1日に5往復運行され、登山ルートを短縮することも可能です。
主な登山ルート
聖岳は南側の山麓からアプローチするルートが複数あります。
危険度や体力度も違うため、自分のレベルにあったルートを選択することが大切です。
椹島~稜線縦走2泊3日ルート
椹島ロッヂをスタートし、聖岳登山口を通り聖沢吊橋を経由し聖平小屋で1泊目。
2日目は薊畑分岐から小聖岳→聖岳→奥聖岳と縦走し、薊畑分岐に戻って南岳→上河内岳へ縦走、茶臼山から茶臼小屋へ進んで2泊目。
3日目は樺段から横窪小屋を通過し、ウソッコ沢小屋を通り、沼平でゴールします。
標高差4063m、総距離33.9㎞所要時間19時間になります。
赤石岳~聖岳3泊4日ルート
椹島ロッヂをスタートし、カンバ段を経由して赤石小屋で1泊目。
2日目は富士見平を通って赤石小屋分岐を経由、赤石岳へ登頂し百聞洞山の家で宿泊。
3日目は大沢峠→中盛丸山→小兎岳と縦走して聖岳へ稜線沿いに進みます。
奥聖岳→聖岳→小聖岳と縦走して聖平小屋で3泊目。
4日目に滝見台へ下り聖沢吊橋を経由して椹島ロッヂへ戻りゴールします。
標高差4544m、総距離33.8㎞所要時間20時間半になります。
冬山登山はできる?
聖岳は冬登山もできます。
冬に利用できる山小屋もあるので、宿泊プランでアタックすることができます。
ただし、登山レベルは高くなり、アイゼン・ピッケルなどに慣れていることが前提です。
天候が荒れて吹雪くことも少なくありませんし、積雪量によってはラッセルの必要もあります。
また南アルプスの山稜部分は岩場が多いので、稜線縦走は醍醐味ではありますが、かなりの技術と経験が必要だということは認識しておきましょう。
山小屋情報
聖岳には複数の山小屋・避難小屋があります。
宿泊しながらの縦走ルートが一般的な山なので、役立つはずです。
- 長野県営兎岳避難小屋
- 場所:兎岳から聖岳方面下る
- 電話:0260-34-5111
- FAX:0260-34-2138
- 営業期間:通年(無人)
まとめ
聖岳は高山植物を始めとした自然保護活動がさかんです。
登山の際には、自然環境に配慮する高い意識を持つこも大切なことです。