悪沢岳は長野県と静岡県の県境に位置する山です。中岳、前岳と合わせて「荒川三山」を構成し、その中での最高峰になり「東岳」と呼ばれることもあります。

標高は3141m、日本で6位の高さをほこります。

山域は南アルプス国立公園内にふくまれ、日本百名山にも選定されています。




悪沢岳について・概要

悪沢岳を含む荒川岳は、氷河の侵食によるカールが点在します。

山頂付近は森林限界で高い樹木は育たず、ハイマツの群生に覆われています。

とくにカールのあるポイントの自然環境は素晴らしく、高山植物の群生をはじめとして、ライチョウの生息域としても有名です。

南アルプスの稜線上に悪沢岳の頂上も位置し、縦走ルートとしても親しまれています。

■登山の人気シーズンは?

悪沢岳の登山人気シーズンは6月初旬から10月中旬頃までです。

積雪期・残雪期が長く梅雨に入る寸前まで雪が残り、新緑が芽吹き出す頃と時期が重なります。

高山植物が開花し始めるのも、まだ雪が残る残雪期という、特異な機構の性質があります。

山頂は岩場も多く、残雪が残ると危険なので、盛夏に一気に登山客が集中します。

■この山の魅力

悪沢岳の魅力は、3000m超えの標高の高さから見られる大絶景です。

中央アルプス・南アルプスの峰々を一目に収めることができ、北東に富士山を見ることもできます。

また高山植物の宝庫としても有名で、花畑の作る面積の広さは南アルプスの山岳の中では最大級です。

高山ノ滝など沢もあり、癒やされるビュースポットとして人気です。

真夏になると、まるで花のじゅうたんのように高山植物が開花し、幻想的な風景をつくります。

■登山のレベル

悪沢岳の登山レベルは概ね上級者向けになります。

森林限界を越えた地点あたりから岩場が増え、斜度も急激に上がります。

登山道はアップダウンが強く、体力が要求されます。

悪沢岳は稜線を縦走するルートが人気ですが、頂上ではトラバースが必要な岩場もあります。

アクセスする交通網の整備が良くないので、ルート距離が長くなることも、登山レベルが高くなる理由です。

■主な登山ルート

悪沢岳は複数の登山ルートが取れます。

初心者や体力に自信のない人は日帰りよりも宿泊登山を選ぶほうが難易度は下がるのでおすすめです。

湯折~悪沢岳3泊4日ルート

湯折をスタートし、高山ノ滝を経由し広河原で1泊目。

2日目は船窪から大聖寺平を通り、荒川小屋で宿泊。

3日目に前岳に登頂、中岳→悪沢岳と縦走しさらに千枚岳へ縦走して千枚小屋で宿泊。

4日目に見晴台→蕨段→清水平と下り、吊橋を通って滝見橋に進み、椹島ロッヂでゴールします。

標高差32318m、総距離28㎞所要時間15時間半になります。

島倉~荒川三山縦走3泊4日ルート

島倉をスタートし、三伏峠で1泊目。

2日目に烏帽子岳→小河内岳を縦走し、大日影山分岐を経由、板屋岳へ登頂し高山裏避難小屋で宿泊。

3日目に前岳に登頂、中岳→悪沢岳→丸山→千枚岳を縦走して千枚小屋で宿泊。

4日目は駒鳥池から見晴台蕨段→清水平と進み滝見橋を進んで椹島ロッヂでゴール。

標高差3287m総距離30.8㎞、所要時間17時間半になります。

■冬山登山はできる?

悪沢岳は冬登山も人気です。

12月から2月などの厳寒期にでも冬山を楽しむ登山客がいます。

かなりの積雪量になり、ラッセルで進むことも必要ですが、南アルプスの冬を堪能することができます。

悪沢岳は夏山でも難易度が高い山なので、もちろん冬山はさらに難しくなります。

2000m級の山岳で冬登山を経験した人など、適切な登山技術がある人はアタックしてみましょう。

周辺のアクセス道路は凍結で規制が出ることもあるので、最新情報のチェックも必須です。

■山小屋情報

悪沢岳にはたくさんの山小屋・避難小屋があります。

縦走プラン・宿泊プランで登山をする際には役立ちます。

  • 静岡県県営荒川中岳避難小屋
  • 場所:荒川中岳山頂東側
  • 電話:0547-46-4717
  • FAX:なし
  • 営業期間:7月中旬~9月30日まで

■まとめ

荒川三山は南アルプスの中でも自然が多い山岳で、悪沢岳の高山植物はその中でも群を抜いています。

悪沢岳では、数日間宿泊しながら、ゆったりと自然を満喫しながら山登りを楽しのがおすすめです。