はじめての【登山向けコンパス】種類/使い方/おすすめ6選

コンパスは登山の時に持っていて非常に頼りになり、助かるアイテムです。

登山中にこの道は合ってるのか不安に思ったり、目の前に見えている山は何という山なのか気になる事があります。そんな時にはコンパスと地形図です。

地形図とコンパスがあれば、自分の現在地や目的地への進行方向、山の名前などを知る事ができとても便利です。

でもコンパスと地図読みって難しそう、、とハードルが高く感じるかもしれません。

今回はコンパスの使い方や種類など基本的な事を簡単にまとめ、初めてでも使いやすいコンパス6選をおすすめします。




コンパスにできる事

最近は登山のガイドブックやインターネットの情報、GPSが充実しています。

しかし、急なルート変更や機械の故障、充電切れなど登山中は思いもよらない事が起こるかもしれません。

コンパスと地形図そして自分の技術は、どんなに道具が進化しても変わらず頼りになる存在です。

そもそもコンパスがあると何が良いのでしょうか。それはコンパスは地形図と一緒に使えば様々な事ができます。

  • 現在地の確認ができる
  • 目的地の方向がわかる
  • 道が合っているのかわかる
  • 気になる山は何山なのかわかる

軽くてコンパクトなコンパスは荷物にもならないのでメリットばかりという事がわかります。

登山向けコンパスの種類

コンパスには主にドライ式コンパス、オイル式コンパスがあります。

この2つは磁針が入っているカプセルの構造の違いで、その他にベースプレートコンパスやレンザティックコンパスなどコンパス全体のデザインによって種類が分けられます。

オイル式コンパス(液体式コンパス)

方位磁石の針が入っているカプセルの中をオイルで満たしているコンパス。

オイルの他に水などの液体の場合もあるので総称して液体式コンパスとも呼ばれます。

オイルによって針がブレにくく滑らかに動くので、正確な方位をすぐに確認できます。

ただし、炎天下や高温の場所に放置しておくとカプセル内のオイルに気泡ができたり、使用温度が決まっていたりと温度の影響を受けやすいので注意が必要です。

ドライ式コンパス

針が入っているカプセルの中を空気で満たしているコンパス。

よく店頭でも見かける定番の種類で、他の種類より価格が安い傾向があります。

針の中心のみを固定しているので、くるくると回ります。

オイル式などの液体を使っていないので、温度の影響を受けず高山や寒冷な場所でも使えます。

しかし、カプセル内の液体の抵抗がないので針がブレやすく、オイル式に比べると正確さにやや欠けます。

ベースプレートコンパス

透明の台座が付いているコンパス。

透明なので地形図の上に乗せても、下の図を邪魔せず使えます。

方角、距離も調べやすいので初心者の人におすすめの種類です。

レンザティックコンパス

軍用コンパスとも呼ばれる本格的な種類でミリタリーショップなどでも手に入ります。

とても細かい目盛りが付いており、より正確に目的地の方位を測る事ができます。

ただし慣れるまで難しく、登山でもどちらかというと上級者に向いています。

登山用コンパスの使い方と地図読み

登山でコンパスを最大限に生かすためにも、コンパスの使い方、選び方、地図読みを確認しておきましょう。

まずは基本的な部位や注意点をふまえて整置をマスターします。

整置に慣れてきたら少しずつ出来る事を増やしていくと良いと思います。

やり方を覚えて終わりではなく、当たり前のように習慣にする事が大切です。

コンパスの部位

コンパスは北を指す磁針の他、リングやベースの矢印などの部位によって構成されています。

  • ベース(土台となる板の部分)
  • ベースの矢印(カプセルの中に書かれた矢印)
  • 磁針(赤い針が常に北を示す、磁北を指す針)
  • リング(ベゼルとも呼ばれる、方位の度数目盛り)
  • 度数線
  • コンパスの長辺

コンパスを使う時の注意点

コンパスのみだと方位を指すだけですが、地形図と組み合わせる事でできる事が広がります。

しかし地図とコンパスを持つだけで地図読みができるわけではありません。

正しく使うにはいくつか注意点があります。

事前に注意点を確認して準備を整えましょう。

地図読みに必要なもの

地図読みに必要なものをまとめました。

  • コンパス(方位磁石)
  • 25000分の1または50000分の1の地形図

地形図は国土地理院または昭文社の山と高原地図があります。

25000分の1の地形図は4cmが1km、50000分の1は2cmが1kmの縮尺で、25000分の1の方が細かい地形がわかります。

地形図に極北線を引く

登山に行く前にとても大切な準備があります。それは地形図に極北線を引く事です。

地形図にある北と、コンパスが指す北は若干ズレています。

このズレの事を極北偏差といい、地形図には磁針方位と書かれています。

極北線は場所によって変わり、沖縄では5°ほど、北海道では10°ほど西にズレています。

小さなズレでも何キロも離れた場所を把握するには大きなズレになってしまうので、地形図とコンパスの北はズレている事を頭に入れて極北線を引く作業を忘れないようにします。

さらに磁北線はつねに動いているので場所だけではなく年によっても変わります。

登山においては大きな誤差はないですが、心配であれば最新の地形図を使うと良いです。

磁北線を引くにはコンパスまたは分度器、定規と線の細い筆記用具を使います。

線が太いペンだと細かい情報が見にくくなったり、線の太さで誤差が出たり、失敗すると大変なので、線の細い鉛筆やペンを使うのがおすすめです。

例:地形図25000分の1、磁針方位西偏7°10'と記載がある場合

1:まずは細かい数値を計算する西偏7°10'は西に7度10分ズラすという意味ですが、10'(10分)は時計と同じ60進法で7.10度ではないので注意です。そのため10進法のコンパスに合わせて計算をします。10÷60=0.16度となり、この場合コンパスまたは分度器で7.16度ズラす事になります。計算がややこしいので単純に7度だけズラす事もできますが、計算した方がより正確な位置を出す事ができます。
2:地形図の北を上(縦)にし、右下の角に分度器またはコンパスを合わせます。そして西に7.16度を測り印をつけます。
3:地図の角と印をまっすぐ繋げ、コンパスの長辺または定規を使って線を引きます。
4:1本目に引いた線から4cmずつ等間隔に印を付けて同じように線を引いていきます。4cmの理由は、25000分の1の地形図の場合4cmが1kmで距離を測るのに便利だからです。

強い磁気の近くに置かない

コンパスは強い磁気を発しているものの近くに置くと磁気が狂う事があります。

スマートフォンやラジオと一緒にポケットに入れたりしないように注意しましょう。

コンパスの使い方(整置のしかた)

基本の整置は簡単で初心者にも優しいコンパスの使い方です。

まずは整置をマスターして、軽登山やハイキングなどで実際に方向を確認したり、気になる山を調べたりしてコンパスに触れる機会を増やしましょう。

1:地形図を胸からお腹の間あたりの高さに水平に持ちます。
2:コンパスを地形図の上に置き、地形図を回してコンパスの磁針と極北線を合わせます。
3:これで地形図の方角と景色が一致します。

整置できたら地形図は絶対に動かさず、見る方向を変えたい時は自分の身体だけを移動させます。

登山向けのコンパスの選び方

登山向けのコンパスを選ぶ上で押さえたいポイントは、耐久性、精度、動作温度、使いやすさです。

レインウェアやヘルメットなど登山用品は軽さが大きなポイントになる事が多く、それが価格に反映される事もあります。

しかしコンパスはもともとの仕様が小さく軽いので、単純に精度や耐久性などが価格の違いに出てきがちです。

安いからと選ぶのではなく、登山に向いている丈夫で使いやすいコンパスを選ぶ事がポイントです。

耐久性

コンパスには明確な耐久性を表す基準はありませんが、ノーブランドの安価なものではなく、しっかりとしたメーカーのものが安心です。

コンパスの大手のメーカーではシルバ、スント、YCMなどがあります。

精度

コンパスの種類でもあったように、ドライ式のものよりはカプセルの中にオイルなどの液体を入れているものの方が、液体の抵抗を受けるので針がブレにくく精度が高いです。

ただしオイルなどの液体式は外気の温度に影響を受けやすいので、目的地の環境や登山レベルによって選びましょう。

動作温度

オイルなどの液体式は動作温度があります。

寒冷地では不具合が出てくる可能性が高くなるので、事前に耐温度を確認する事、寒冷地以外でも直射日光や高温の場所に放置しないように気をつけなければいけません。

使いやすさ

あまり複雑な作りや使い方をするものは慣れるまで大変ですし、初めてだと特に使うのが面倒になってしまいます。

まずはシンプルで使いやすいものを選ぶのがおすすめです。

初心者にもおすすめコンパス6選

初心者でも使いやすい種類は、ベースプレートコンパスと言われています。

透明のベースが付いており、地形図との相性も良く、作りもシンプルな種類です。

初心者にも人気のベースプレートコンパスとともに、その他の種類も含めておすすめのコンパスを紹介します。

シルバ(SILVA)

今では当たり前となった液体封入型コンパスを発明した3人のスウェーデン人が1933年に使った会社がSILVAです。

高品質で高精度のSILVA社の製品は、軍隊や測量士、登山家など様々な分野のプロフェッショナルに使われています。

シルバNo.3 Black

シルバNo.3 Black

出典:アマゾン

  • 重さ:33g
  • 耐温度:-20~60℃

シルバのコンパスといえば、シルバNo.3と言われるほど有名なコンパス。

リングの目盛りが黒くなっているので見やすいです。

ベースプレートコンパスで、カプセル内には液体を含んでおり針がブレにくく精度の高い情報を得る事ができます。

持っていて間違いのないアイテムです。

SILVA(シルバ)
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リストコンパスBegin ECH150

リストコンパスBegin ECH150

出典:アマゾン

  • サイズ : 直径38mm×高さ10mm
  • 質量:約13g

手首と親指に付けて使うため、地形図が持ちやすいのが良いところです。

簡単な作りでとてもシンプルなので、野外スポーツのオリエンテーリングや軽登山、ハイキング、トレイルランニングなどに向いています。

ベースプレートコンパスは幅広く使えますが、コンパス入門としては扱いやすいのがリストコンパス、サムコンパスという種類です。

SILVA(シルバ)
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スント(SUUNTO)

フィンランド生まれのスントは、フィンランドの冒険家によって創設されました。

過酷な環境の最前線にいた創設者によって作られたコンパスは丈夫で精度に優れています。

その丈夫さは、戦争時に軍用としてフィンランド兵が胸ポケットに入れて持ち運んでいたところ、銃に撃たれてもスントのコンパスによって一命をとりとめたというストーリーに表れています。

現在では水中でも使えるダイビングコンパスも開発しています。

SUUNTO(スント) 方位磁石 A-30

SUUNTO A-30

出典:アマゾン

  • サイズ:57×110mm
  • 重量:34g
  • 使用温度範囲:-35~60度C
  • 機能:ルミナスベゼル、ルーペ、マーキングホール

シンプルな作りですが、リングの目盛り部分が蛍光マーキング仕様になっているので、暗い場所でも使えます。

登山中以外でも天体観測などにも活用できるのは便利です。

透明のベースプレートコンパスで、カプセル内は液体式で針の動きがスムーズ。

目盛りもシンプルにメートル法のみ記載されています。

スント(SUUNTO) コンパス M-3

スント(SUUNTO) コンパス M-3

出典:アマゾン

  • コンパス 方位磁石 ( ベースプレートコンパス )
  • 主な用途: 登山 ハイキング トレッキング アドベンチャー など
  • 平衡調整: 北半球
  • ハウジング: リキッドタイプ 液体充填カプセル
  • サイズ/重量: 61 x 120 x 14 mm / 45 g
  • 動作温度: -30~60℃

SUUNTO A-30と同じく一部に蛍光マーキングを使用しているので暗いところでも便利です。

目盛りがメートル法、ヤード・ポンド法になっており、海外でも人気の種類です。

ワイシーエム(YCM)

国内で少ない方位磁石の会社であり、日本最古の老舗コンパスメーカーです。

登山向けのものや自衛隊使用のコンパスもあれば、風水用のコンパスなど幅広い製品を扱っています。

公式ウェブサイトではコンパスの使い方などが紹介されており、楽しみながらコンパスの知識を高める事ができます。

YCM製 オリエンテーリングコンパス OL-6RN

オリエンテーリングコンパスNO.OL-6RN

出典:アマゾン

  • 地形図の等高線は1:25000 で10m毎に、1:50,000で20m毎に細い線で記されています
  • スケール板の左辺を等高線にあわせれば傾斜角度が把握することができるという画期的な機能
  • サイズ:122×61×10mm
  • 重量:43g
  • 90cmストラップ付

オリエンテーリングコンパスというベースプレート式のコンパスシリーズの中で、最も長辺がある種類です。

手に収まるほどのコンパクトな種類もありますが、長辺があると目的地までの距離が測りやすく、初めてでも使いやすい面があります。

スロープスケール(勾配計)付きなので、地形図の等高線の幅を測り傾斜の角度を出す事ができます。

YCM
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YCM マップコンパス No.880

YCM マップコンパス No.880

出典:アマゾン

  • サイズ:直径48×12mm
  • 重量:16g
  • 材質:アクリル

オイル式コンパスでコストパフォーマンスが良いのが特徴です。

ベースプレートはないですが、軽い登山やハイキングなどに持って行くのに便利なマップコンパスです。

YCM
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まとめ

登山でのコンパスの役目や種類、使い方などを紹介しました。

スマートフォンのアプリやGPSなど技術は日々進歩しています。

しかし道具がなければ何もできない、またはリスクが高くなる事は避けなければいけません。

道具が進化しているからこそ、同時に自分自身の技術を高める事が重要になってきます。

便利な道具も活用しつつ基本的な知識と技術を磨いて、山で過ごす時間を充実させていきましょう。