金峰山に日帰り登山レポート【毎日アルペンバス/五丈石/大弛峠】

金峰山といえば、山頂にそびえ立つ五丈石。その上に立っているちっぽけな人間。

Web上で誰かが挙げているその写真がとてもかっこよくて自分もその上に立ちたくなりました。こんにちはSakuraです。

百名山の名付け親、深田久弥は『日本百名山』の中で、《頂上に立ったときの四周の眺めに狂喜した》と記しているそうです。

五丈石と絶景を求めて金峰山へ向かいました!




コースルート・タイム

金峰山コースで、なるべくピストンはしたくないのと、公共交通機関の便がよいので、金峰山荘ー大弛小屋コースを選びました。

登山データー

登山日付 2015年10月17日
天候 晴れ/時々曇りのち雪
最低気温 -2℃(山頂)
最高気温 4℃(山頂)
標高差 1029m
トータル時間 8時間10分 ※休憩2時間40分(中ノ沢出合~金峰山小屋:休憩20分・金峰山小屋:休憩1時間・山頂:お昼ごはん+休憩2時間)
ルート 【登山口着5:40】金峰山荘(6:30)→中ノ沢出合(7:50)→金峰山小屋(10:00)→山頂(11:00-13:00)→朝日岳(13:40)→朝日峠(14:10)→大弛峠(14:30)【バス】大弛峠発(14:50)→柳平着(15:20)→柳平発(15:25)→塩山駅着(16:15)

主な服装・持ち物

  • ザック:North Face・30L
  • シューズ:MAMMUT
  • 服装:半袖、長袖のインナー、長ズボン
  • レインウェア上下
  • フリース
  • ダウン
  • キャップ(ゴアテックス)
  • ニット帽
  • 手袋(防寒用の薄いもの、防水用の厚いもの)
  • 行動食(じゃがりこ、ドライマンゴー、クッキー)
  • 昼食(カップヌードル)
  • バーナー
  • 飲みもの2L(昼食用の水を含めて)

金峰山はどんな山?

金峰山は、山梨県甲府市と長野県南佐久郡川上村の境界にある山で、標高2,599mの日本百名山です。

日本百名山のほかに、新日本百名山、花の百名山、山梨百名山でもあり、名峰と呼ぶのにふさわしい山です。

呼び方が2種類あり、山梨県側では「きんぷさん」と呼び、長野県側では「きんぽうさん」と呼びます。

山で会ったほとんどのひとは、「きんぷさん」と呼んでいますが、長野県のひとは「きんぽうさん」と呼ぶのだろうか・・・?

金峰山の近くには同じく日本百名山の瑞牆山と甲武信ヶ岳があり、二峰縦走、三峰縦走するひとも多くいるようです。

登山口までのアクセス

金峰山の登山口までのアクセスをチェックしましょう。

主な登山ルート《金峰山荘ー大弛峠》

金峰山のコースは主に2種類あります。

大弛小屋からピストンするコースと、金峰山荘から山頂を目指し、大弛小屋に抜けるコースです。

なるべくピストンはしたくないのと、公共交通機関の便がよいので、金峰山荘→大弛小屋コースを選びました。

東京から金峰山荘へのアクセス

毎日アルペン号で行くのが便利です。

  • 行き:【毎日アルペン(夜行バス)】京王八王子駅(24:30発)→金峰山(5:40着)
  • 帰り:大弛峠発(14:50)→柳平着(15:20)→柳平発(15:25)→塩山駅着(16:15)

※ 大弛峠~塩山駅のバスは予約が必要です。

http://eiwa-kotsu.jp/root.html

登山レベル(金峰山荘ー大弛小屋)

  • 大菩薩峠の登山や陣場山ー高尾山の縦走が平気なひと
  • はじめての2500m越えの登山!というひとにもおすすめ

京王八王子駅出発~金峰山荘登山口まで

京王八王子駅

すっかりお馴染みとなった毎日アルペン号。

キャンセル料を結構取られるのがたまに傷ですが、朝早くに直接登山口に行けるのは大きなメリットです。

かなりお世話になっています(天候不良で登山中止になりキャンセル料もかなり払ってます 笑)

集合場所の京王八王子駅は、JR八王子駅から歩いて約5分くらいです。

集合場所付近へ行くと、毎日アルペンの受付のひとや登山客が固まって集まっているので迷わないと思います。

注意点は、バスの集合場所付近にいくつかコンビニはありますが、登山客が多いせいかトイレの使用が禁止されています。

バスにも備えついていないので、駅で済ませておくほうがよいです。

走行中に2回、トイレ休憩はあります。

朝5時40分頃、金峰山荘前に着きました。

金峰山荘

金峰山荘は見た目がおしゃれな山荘で、テント場もあるので駐車場にはそれなりの数の車が止まっていました。

ちなみに、金峰山荘は「きんぽうさんそう」と呼びます。

10月中旬の明け方、標高が1570mなのでかなり寒いです。

一度冷やした身体を温めるのは大変です。

バスの中は暖かいですが、下りてすぐ身体が冷えないように、バスの中に防寒着を持っているとよいです。

化粧をしてごはんを食べて、いつものことながらノロノロ支度をして準備が整ったのが6時30分。ようやく出発です。

大弛峠からのピストンが一般的なので一緒にバスを降りたひとも少なかったのですが、周りは誰もおらず・・・。これもいつものことですが、いちばん最後に出発しました。

金峰山

遠くに見える金峰山が光に当たって神々しい姿を見せてくれました。

登る前に目標の山が見えると、モチベーションもテンションも上がります!

金峰山荘(6:30)→中ノ沢出合(所要時間1時間+休憩20分)

木の橋をわたると登山口

金峰山荘から登山口までは5分くらいです。

川のそばを歩き、木の橋をわたると登山口です。

登山口からほ、整備された緩やかな林道が続きます。

歩き始めてすぐにいろいろな方面の登山道がある分岐に出ますが、看板がしっかりしているので迷うことはないでしょう。

緩やかな道は10-15分ほど続き、少しずつ傾斜のついた坂になります。

1時間20分、ずっとこのような道です。そこまできつい傾斜ではないので、おしゃべりしながら林道ハイクを楽しみました。

天気がよく、秋特有の深い緑の趣が感じられました。

中ノ沢出合→金峰山小屋(所要時間1時間50分+休憩20分)

最終水場

中ノ沢出合からも林道で、10-15ほどで水場に着きました。「最終水場」と書いてあります。

この季節だと1時間半歩いただけでは飲み水も減らないので、給水の必要なし。

とはいえ、味見だけはしよう。冷たくておいしい!・・・夏だともっとおいしいんだろうな。

最終水場を過ぎ、2300mを過ぎると森林限界になります。視界が開けて、遠くの山々まで見渡せる美しい景色が眼前に広がります。

遠くに見えるあの山はもしや金峰山では・・・?

金峰山

なんか遠くない・・・?あそこまでほんとに行けるの?

心配して聞いてきた仲間は、はじめての2000m以上の山です。

大丈夫大丈夫、山ってそんなもんだから。見た目よりあっという間に行けちゃうもんだから。

そう言いましたが、内心大丈夫かな、とドキドキしました(笑)

そもそも金峰山じゃないかもしれないし。

そんな心配をしていたのにも関わらず、木漏れびで木々の緑がきらきらしている気持ちのよい森のなかに入りました。

お茶をしたくなり、のんびりティータイム。

20分くらいボーッとしながら温かいミルクティーを飲んで、再び金峰山を目指しました。

ティータイムのあと15分くらい歩くとすぐ金峰山小屋でした (笑)

金峰山小屋でトイレを借り、すぐに出発。

と思いきや、金峰山小屋の脇に展望がとてもよい場所を見つけてしまい、再び10分くらい休憩。

金峰山小屋の脇

今回は休憩ばっかりしています・・・(汗)

金峰山小屋→山頂(所要時間1時間)

岩々した登山道

金峰山小屋から山頂は岩々した登山道を上ります。とはいえ、そこまでの傾斜ではありません。

風邪が強く、長袖の上に半袖、フリース、そしてダウンを着て丁度良いくらいでした。

(仲間はフリースのみだったので、わたしが寒がりなだけかも・・・)

振り返ると、見渡す限りの生き生きとした山々が見え、その度にとまって写真撮影。

途中で会ったグループと写真を取り合いながらのんびり歩いていたら、金峰山から山頂までは20分のコースタイムなのに、3倍の1時間かかってようやく登頂!

山頂

山頂はガスったり晴れたりの繰り返し。気まぐれな天気です。

山頂から真っ先に目に入るのは五丈石。ちょうど雲が出てきてガスのなかに鎮座する五丈石の迫力はかなりのものでした。

五丈石

五丈石のてっぺんにひとが立っているのが見えました。

あれをやりたかったんだよ!

はやる気持ちを押さえて、五丈石を目指します。山頂から五丈石までは、3分くらい岩の上を歩きます。

五丈石に向かう途中、山頂を振り返った写真がこちら。

五丈石

3分前まではガスっていたのにすっかり取れてすっきりした青空でした。

これが自然の力ですね。

山頂(五丈石に挑む!所要時間:11:00-13:00)

再びガスがではじめましたが、五丈石に挑みます!

山頂にいた2時間の間で、ざっと100人くらい登山客がいましたが、そのなかで五丈石にチャレンジしていたのは十数人。

そして上まで行けていたのはたった一人でした。

さあさあ上まで行けるだろうか。

目の前に立つとすごい高さと迫力です。

五丈石

ひとが数人いる真ん中くらいまでは苦労なく行けます。

五丈石

この真ん中らへんのところで、手のかけ場がほんの少ししかない垂直の岩があり、ここで難儀しているひとが多かったです。

垂直なので、少しでも身体が反ってしまうと落ちてしまう恐怖心から足を地面から離せないひとが多いと見受けられました。

指と腕の力で垂直に自分を引き上げて、あとは自分を信じて。

足をバタバタさせながら、この難所をクリア。

このあとすぐに片足分のスペースしかない岩のうえを水平移動します。

なかなかに怖い・・・

ここがどれだけ狭いところか、写真を取りたいところですが、手が離せないのでカメラも出せず。

五丈石のてっぺんに行くまでに、もう1箇所難所があります。

垂直の壁を登って水平移動したあと、2mくらいの高さの垂直の岩を登ります。

これを登ったらてっぺんです。

この岩にはてっぺんに左指を2本ほどかけられる割れ目があります。

足のかけ場もあるのですが、身体を伸ばさないとてっぺんの左指のかけ場に届かないので(身長158cm)、目一杯身体を伸ばし、指と腕の力を使い一気に身体を引き上げます。

・・・これ、行きはいいけど帰りどうするんだ?

下りで足のかけ場まで身体を伸ばすのは至難の業だぞ・・・

しかし、ここまで来て引き返すわけにはいかないので、あとのことは考えないようにして身体を引き上げることに集中。

最後に岩に飛び移り、ようやくてっぺんに到着です。

五丈石

わたしがてっぺんに到着したとき、何人かチャレンジしているひとがいましたが、真ん中の垂直の壁を上がって来られなかったようで、てっぺんを一人占め。

ただしガスって何も見えませんでした(笑)

五丈石

てっぺんから下を見るとこんな感じ。

なかなかの優越感です。

五丈石

帰りはもう何も考えず気合いで降りました(笑)

てっぺんと真ん中の垂直の岩は登るより降りるほうが難しいです。

足のかけ場が見当たらないので、仕方がないから真っ直ぐ真下にジャンプしたり、気合いで腕を伸ばしてみたり・・・

わたしより前に五丈石のてっぺんにいた人がいて、周りのひとからどうやって降りたんだと聞かれていましたが、「足のかけ場が見えないので、大丈夫だと信じて気合いでジャンプしました」と言っていました。

あ、みんな同じか(笑)

達成感を噛み締めながらようやくお昼ごはんです。

フリース・ダウンを着ても寒いくらいだったので、カップヌードルが身体に沁みます。

五丈石登頂を祝して乾杯。

カップヌードル

カップヌードルを食べている間も、「あんたさっき五丈石登ってたひとだろ?どうやって登るんだ?」と話しかけられました。

「えっと・・・気合いで?」

なんのアドバイスにもなりません(笑)

でも本当のこと。

手と足のかけ場は迷うほどないので、ほんの少しあるかけ場に手足をかけ気合いで登るしかありませんでした。

カップヌードルを食べて、お茶を飲みながら帰りのルートとコースタイムを確認すると・・・

あれ?バスの時間まであと1時間50分しかない・・・

コースタイムは2時間。

この段階で初めて焦り、慌てて荷物をまとめ下山を開始しました。

山頂→大弛峠(所要時間1時間30分)

山頂から朝日岳まではひたすら下ります。

道が狭く、また混んでいるので思うように早く進めません。

朝日岳から朝日峠までは一度大きな登り返しがあり、気持ちが焦ったまま早足で上ろうとしてしまったため、息が切れてしまいました。

これはやばい。

いったん落ち着こう。

息が切れたまま下山をしても疲れて余計時間がかかるので、とりあえず立ち止まって息を整えます。

朝日峠から大弛峠までは下りと緩やかな道の繰り返しで、緩やかな道は走り、下り坂は慎重に下りました。

途中で雪がハラハラと降ってきましたが、「初雪だ!」なんて悠長に感じる余裕もなく。

転げるように下りてきて、結局はバス発車の20分前に下山しました。

下山は写真が1枚だけ。

撮った写真がこれ。

急いでいるのに、生命の神秘を感じて撮られずにはいられなかった1枚です。

まとめ

コースタイムの5時間半に対し、トータルタイム8時間10分もかかった今回の登山は反省点がたくさんあります。

帰りのバスの時間を気にして走ると一番けがに繋がりやすいです。

とても充実した楽しい登山でしたが、時間配分についてはこれから気を付けようと思いました。

金峰山は、コースタイムも長くなく、危ない箇所もないですが絶景が拝めるため、初心者の方を連れていくのに最適な山です。

近くにある百名山の瑞牆山、甲武信ヶ岳との縦走やテント泊も可能なので、登り慣れている人も楽しめるので、初心者から上級者まで楽しめるのが金峰山の魅力です。