
空木岳は長野県に位置する山で、中央アルプスの主峰の一つ。標高2864mは、木曽駒ヶ岳に次ぐ高さを持ちます。
山名の「うつぎ」は、残雪期に山麓から見た際に残った雪が織りなす模様が、アジサイ科の植物「ウツギ」に似ていることから名付けられたという説があります。
山域は中央アルプス県立自然公園に含まれ、日本百名山にも選定されています。
この記事に書いてあること
空木岳について・概要
空木岳の山容は東西は急斜面になり、山頂から東側には空木平と呼ばれる深くえぐれたカールを有します。
空木岳山頂には花崗岩が侵食されて形作られた奇石があり、森林限界を超えた山の上部からは大きな岩が散乱する荒れた環境です。
東西の山腹は切り立つ絶壁のような山容を表し、稜線は木曽駒ヶ岳から連なります。
空木岳は自然環境が優れていることでも知られ、豊かな高山植物とオコジョやニホンカモシカ・ニホンジカなどの保護動物の生息域でもあります。
登山の人気シーズンは?
3000級の山岳に近い標高を持つ空木岳は、冬が長く夏は短くなります。
積雪・残雪期も長く、そのため登山の人気シーズンは高山植物が開花し始める6月下旬から8中旬頃。
紅葉もまた素晴らしいことから、冬の到来の前に短期間登山客が増えます。
10月にもなると降雪が始まり、一気に登山客は減少します。
この山の魅力
空木岳は、花崗岩のむき出した場所とハイマツが作る草原が作る紋様が美しく、この山の魅力にもなります。
森林限界が始まる標高からは視界が開け、開放的な雰囲気の中登山を楽しむことができます。
稜線でつながる中央アルプスの他の山岳を縦走するのも山脈登山の楽しみの一つで、まさに「日本の屋根を歩いている」という実感が得られます。
もちろん展望は素晴らしく、東には富士山北側には中央アルプスを一望できる大絶景です。
登山のレベル
空木岳の登山レベルは選択するルートにもよりますが、概ね上級者向けだといえます。
とくに東西からのアプローチではかなり険しい山道となり、岩壁と鎖場の連続になります。
比較的岩場は足場がしっかりしていますが、傾斜がかなりきついことから高さを非常に感じます。
これまで岩登りを経験したことがない人は恐怖を感じるかもしれません。
また登山ルートが長くなる傾向にあり、体力・脚力も要求される山でもあります。
主な登山ルート
空木岳は選択する登山ルートによってはかなり難易度が上がります。
登山ルート自体はバリエーションに富んでいるので、自分のレベルに合わせたプランを立てることが可能です。
千畳敷~稜線縦走1泊2日ルート
千畳敷をスタートし、極楽平→濁沢大峰→檜尾岳→熊沢岳→東川岳と縦走し木曽殿山荘で宿泊。
2日目に空木岳へ縦走し、大地嶽を通り池山林道終点まで進み、駒ヶ根高原でゴールします。
標高差1469m(登り)総距離19.8㎞、所要時間12時間になります。
駒ヶ池バス停~稜線縦走1泊2日ルート
駒ヶ池バス停をスタートし、三本木地蔵→マセナギと進み、小池嶽から空木岳へ登頂、木曽殿山荘で宿泊。
2日目はもと来た山道で下り駒ヶ池バス停でゴールします。
標高差2525m(登り)総距離22㎞、所要時間13時間半になります。
冬山登山はできる?
空木岳は冬でも登山客が訪れます。
ただし、本格的な登山装備を持ち、経験も十分になる上級者でないと危険です。
空木岳は中央アルプスに属していることからも積雪量はかなりのものです。
また、風が吹くたびに天候が変わるという難しさもあり、厳冬期などはルートファインディング能力も高いものが要求されます。
最近では外国人が登山を目的とした旅行で遭難したケースもあるので、決して侮れない山だということは自覚しておく必要があります。
山小屋情報
空木岳には複数の山小屋・避難小屋が設置されています。
稜線を縦走するような長距離プランを立ててる人は山小屋情報もしっかりと頭に入れておきましょう。
- 空木 駒峰ヒュッテ
- 場所:空木岳山頂東側100m
- 電話:0265-83-6816
- FAX:なし
- 営業期間:7月15日~10月9日
まとめ
空木岳は美しさと険しさを併せ持つ魅力に溢れた中央アルプスの山です。
登山上級者の中では、岩登りを練習するために登山してくる方も多く、様々な登山経験が積める山としての側面もあるようです。