
登山を趣味としているひとなら誰でも憧れる場所、涸沢カールに行ってきました。
登山歴が浅いわたし、連れていってくれるひとがいないとまだアルプスには行けません。
知り合いで紅葉の時期に毎年涸沢に行くひとがいるというので紹介してもらい、ついに憧れの地、涸沢カールにテント泊で行きました。
今回のパーティーは8人でした。
2泊3日で、1日目は涸沢カールへ、2日目は奥穂高岳に行くグループと北穂高岳に行くグループ、涸沢カールで待っているグループに分かれました。
わたしは、山好きの多分に漏れず小学館の『岳』(石塚真一 著)が好きで、主人公が住む奥穂高岳に憧れを抱いていたので奥穂高岳を選びました。
時間があったら北穂高岳にも行きたいなーと、いま考えたら恐ろしく無謀で準備不足なわたしは、結局は北穂高岳にも行ってしまったのですが、無知とは怖いものです。
それはこれからのお話で。
この記事に書いてあること
登山データー
登山日付 | 2017年9月23日 |
---|---|
天候 | 晴れ |
最低気温 | 5℃(涸沢カール) |
最高気温 | 14℃(涸沢カール) |
標高差 | 804m |
トータル時間 | 7時間 ※休憩:約1時間 |
ルート | 上高地バスターミナル(8:00)・・・明神館(9:00)・・・徳沢(10:00)・・・横尾(11:00)・・・本谷橋(12:00-13:00)・・・涸沢(15:00)【テント泊】 |
登山日付 | 2017年9月24日 |
---|---|
天候 | 晴れ |
最低気温 | 2℃(涸沢カール) |
最高気温 | 1℃(涸沢カール) |
標高差 | 881m |
トータル時間 | 10時間30分※休憩:1時間 |
ルート | 涸沢カール(6:00)・・・ザイテングラート(7:30)・・・穂高岳山荘(9:00)・・・奥穂高岳(10:10-10:30)・・・穂高岳山荘(11:00)・・・涸沢岳(11:30-11:45)・・・北穂高岳(14:15-14:30)・・・涸沢カール(16:30)【テント泊】 |
登山日付 | 2017年9月25日 |
---|---|
天候 | 晴れ |
最低気温 | 5℃(涸沢カール) |
最高気温 | 14℃(涸沢カール) |
標高差 | 804m |
トータル時間 | 6時間※休憩:1時間 |
ルート | 涸沢カール(7:30)・・・本谷橋(8:45-9:15)・・・横尾(10:15)・・・徳沢(11:30)・・・明神館(12:30)・・・上高地バスターミナル(13:30) |
コースルート・タイム
1日目は、涸沢カールが目的地です。
8人で行きましたが、本谷橋を過ぎてからはそれぞれのペースで向かうことになりました。
2日目は、朝に奥穂高岳に登頂、そのあと涸沢岳、北穂高岳を縦走しました。
奥穂高岳は2人でいきましたが、北穂高岳へはソロ縦走になりました。
仲間には17時までには戻るからと伝えましたが、本当にギリギリでした。
3日目は、行きと同じルートをピストンしました。
服装・持ち物
- ザック:zero point(55L)
- シューズ:MAMMUT
- 服装:半袖、長袖のインナー、長ズボン
- レインウェア上下
- フリース
- ダウン
- 2日目の着替え
- 3日目の着替え
- ゲイター
- キャップ
- ニット帽
- 手袋(防寒用の薄手のものと防水用の厚手のもの)
- 水のいらないシャンプー
- 汗拭きシート
- 化粧品+化粧品落としシート
- ホッカイロ(貼る用と貼らない用)
- 行動食(じゃがりこ1個、ドライマンゴー1袋、クッキー、黒糖、キャラメル、カロリーメイト2個)
- 飲みもの2L
- バーナー
皆で手分けして持ったもの
- 1日目の朝食(サンドイッチ)
- 1日目昼食(カップラーメン)
- 1日目の夜食(ジンギスカン鍋の材料)
- 2日目の朝食(おにぎり)
- 2日目の昼食(スープ、おにぎり)
- 2日目の夜食(カレー)
- 3日目の朝食(スープ、おにぎり)
- 3日目の昼食(カップラーメン)
- 米4㎏
- 鍋
- 包丁などの調理用具
涸沢カールはどんなところ?
涸沢カールは、言わずもがな「日本一の紅葉」と言われる人気スポットです。
毎年9月下旬と10月上旬の2週間はかなりのひとが「日本一の紅葉」を一目見ようと詰めかけます。
どのくらい多いかと言うと、写真でよく出てくる夜のテント場には多いときで2000張りのテントが並ぶそうです。
小屋も布団1枚で3枚が普通だそうな・・・
紅葉のピークは、年によって9月の最終週か10月の最初の週か変わります。
確実にピークを見たいひとは、2週連続訪れるそうです。
ちなみに、今回は9月の最終週に行きましたが、この年のピークは10月1週目でした。残念・・・。
2018年は(確か)9月最終週、2019年は10月1週目でした(これは確実)。
カールとは、氷河期に形成された地形です。
山頂に積もった雪が氷(カール氷河)となり、斜面を流れる際に岩肌を削り取られてくぼ地が形成されます。涸沢カールは最大級のカールです。
写真は、涸沢カールを正面から撮った写真です(2019年10月1週目に撮影したもの)。
真ん中の窪みに色とりどりのテントが張ってあるのが見えると思いますが、そこが涸沢カールです。
通常は、涸沢カールを拠点として、さらに上の北穂高岳か奥穂高岳を目指します。
奥穂高岳、北穂高岳はどんな山?
北穂高岳は標高3106m、日本では9番目に高い山で、日本有数の岩場です。
涸沢カールからは「山と高原地図」のコースタイムによると、上り約3時間半、下り約1時間45分なので、2日目の朝から上り始めれば、余裕を持って登ることができます。
山頂付近には北穂高小屋とテント場(20張ほど)があり、1日目でここまで来れば、夕日や星空、朝日が山頂から拝めます。
「山と高原地図」では、上高地バスターミナルから北穂高小屋までコースタイム9時間10分なので、頑張れば行けなくはない、というところでしょうか。
山頂からは天気がよければ槍ヶ岳が見えます。
奥穂高岳は標高3190mで、南アルプスの間ノ岳と並んで日本では3番目に高い山です。
(ちなみに、1位は当然のことながら富士山、2位は南アルプスの北岳です。)
奥穂高岳も1時間圏内に穂高岳山荘があり、1日目でここまで来れば、夕日や朝日が山頂から拝めます。
ただし、穂高岳山荘から山頂はハシゴや鎖がある岩場となっていて、山頂で夕日や朝日を拝むとなると暗い中での行動になるので、慣れていないひとは避けたほうがよいでしょう。
奥穂高岳からの眺めも目を見張るほどのダイナミックな景色です。
マイカー→沢渡「ともしび」(前泊)
出発地の上高地バスターミナルはマイカー規制がかかっているので、沢渡の駐車場に車を留めて、タクシーかバスで上高地バスターミナルに向かいます。
今回一緒に登ったパーティーは年配の方が多かったため、沢渡にある「ともしび」という宿に前泊をしました。
料金は素泊まりで和室3240円~です。
ライダーハウスという相部屋もあり、ここだと1080円~です。
車2台で前日の夜遅くに「ともしび」に集合し、皆で食べる分の食材を分けて0時30分には就寝しました。
1日目:上高地バスターミナル→横尾(所要時間:3時間)
朝6時に起床、7時前にはタクシーに乗り上高地バスターミナルに向かいました。
上高地バスターミナルは紅葉を見にたくさんのひとがいました。
それでも、夜行バス組はすでに出発しているので空いているほうではないかと。
登山届を出し、準備をして出発です。
ちなみに、ここから先は2箇所を除いてトイレは有料です(1回100円)。
上高地バスターミナルから横尾まではほぼ平坦な道が続きます。
まずは、最初のチェックポイントである明神館を目指します。
10分ほど歩くと、有名なかっぱ橋があります。
この時は写真を撮らなかったので、別の日に行ったときの写真です。
(有名なかっぱ橋にはいままで6回ほど行っているのに、この写真以外は1枚も撮っていない・・・汗)
そして見逃してほしくはないのがこの川!
かっぱ橋から5分もかからないところにある川ですが、川のなかに沈んでいる藻が太陽に当たって大層きれいに見えます。
これから「さぁ出発」というところにあるので、見逃さないようにぜひ立ち止まって見てほしいもののひとつです。
「小梨平キャンプ場」を抜けて少し歩くと、明神岳が姿を表します。
登山道はないようですが、歩き始めていちばん始めに見る大きい山です。明神館までは川沿いの平坦な道が続きます。
明神館は山に登らないひとたちも訪れる観光名所なので、たくさんのひとがいます。
ちなみに、徒歩10分くらい奥まで行くと「明神池」という有名な池があります。明神館のトイレは料金がかかりません。
明神館から徳沢も、たまに坂がありますが、基本的には平坦な道で約1時間くらいです。
明神館から徳沢の間には猿を結構見ます。
今回も親子猿、発見です!
明神館から50分くらいのところ、徳沢の手前に公衆トイレがあります。ここがふたつめの無料のトイレです。
これから先のトイレは1回100円かかります。
徳沢はとてもおしゃれな小屋です。
一度だけ泊まったことがありますが、お風呂もあり、宿泊施設もとてもきれいなので、涸沢に行かず上高地へ旅行に来る際にここで山小屋気分を味わうのもよいかな、と思います。
テント場も広いです(100張、料金は1泊700円)。
徳沢ではソフトクリームが人気で、週末は長い列を作っています。
涸沢に行くときは、必ずここでソフトクリームを食べます。
徳沢から横尾までも約1時間です(正確には70分)。
この道も多少の坂はありますが、ほぼ平坦な道です。
ここからは、涸沢や槍ヶ岳を目指す登山者のみになります。
涸沢には横尾大橋という橋を渡りますが、この橋を見ると「これから涸沢だ!」という気持ちが俄然沸いてきます。
横尾→本谷橋(所要時間:約1時間)
横尾大橋を渡ると、登山の雰囲気が出てきます。
本谷橋まではたまに上ったり下ったりする樹林帯です。
晴れていたら迫力のある岩山や雄大な山々を臨みながら歩けます。
本谷橋でお昼ごはんを食べました。
時間的にもちょうどよく、賑わっています。
本谷橋から上も、登山道の横でおにぎりを食べるくらいのスペースはありますが、バーナーを使いゆっくり食べたいのであれば本谷橋で食べるのがよいです。
ちなみに、時期は違いますが、本谷橋はこんな橋。
本谷橋→涸沢(所要時間:約2時間)
本谷橋から涸沢まではようやく登山らしい登山になります。
急坂が続き、所々で休みながら涸沢カールを目指します。
・・・写真ではちっとも伝わらない急坂感(笑)
どのくらいの坂かというと、合戦小屋から北アルプスの燕岳に向かう道のような感じです。
あれが2時間続くイメージです。
樹林帯を1時間くらい歩くと展望が開けて、石の平らな道(たぶん「山と高原地図」にある「Sガレ」)が出てきます。
ここから景色がダイナミックになり、ここまで来ると、あと1時間くらいです!
紅葉の時期は、この先はどこを見ても絵になります。
今回はピークの1週間前でしたが、ピーク時はこんな感じです。
「Sガレ」から20分くらいすると、左手に大きい岩があります。
この付近はかなり写真映えのするスポットなので、ぜひ記念撮影を!
ここから先は、坂道をひたすら登るだけ。小屋に行くひとは、「涸沢ヒュッテ」と「涸沢小屋」の分岐があるので、要注意です。
(行き来はできるので間違えても大丈夫です。)
テント泊のひとは「涸沢ヒュッテ」へ。
涸沢到着---混雑する涸沢を快適に過ごす方法
到着すると、こんな景色がお出迎え!
ピーク1週間前なので、まだ緑のところや色づきが薄い部分もありますが、やっと、夢見ていた涸沢カール、感動もひとしおです。
ピーク時はこんなに色とりどりです。
この素晴らしい景色を見たくて、どんなに混んでてもやって来たくなる気持ちがわかりました。
一緒に来たメンバーより早く着いてしまったので、涸沢ヒュッテのテラスで一息。徳沢で一目で気に入って買ったカップです。
お茶をしてたら仲間がやってきたので、テント場に向かいました。
紅葉時期の涸沢のテント場はさながら渋谷のスクランブル交差点のようです。
涸沢で、快適に過ごす方法その1
【9月最終週と10月1週目の土日は避けるべし!】
土日はテント場も小屋もトイレも売店もすべてが大混雑します。
両方とも平日なら尚よいですが、どちらかを外すだけでもだいぶ違います。
涸沢カールより上を目指すひとも多いので、金・土よりは日・月の方がよい気がします。
涸沢で、快適に過ごす方法その2
【貸しテントを借りるべし!】
どうしても自分のテントがよい、という人でなければ、貸しテントが楽です。
以前、別の時期に涸沢に15時くらいに着いたときは、天気がよくなかったのにも関わらず張る場所に困って最終的にはこんな感じに。
分かりにくいですが、斜めで石がごろごろしているところしか空いてませんでした。
夜は暴風雨だったのもありますが、背中に石が当たり寝られなくて苦労しました(初のテント泊でした)。
貸しテントだと、最初から建っているし、下に板が敷いてあるのでかなり快適です。そしていい場所に建っています。
わたしのテントは女性4人でしたが、プラス4人分の荷物だと結構狭かったです。
ちなみに、隣のテントは男3人+女性1人+4人分の荷物だったので、狭そうでしたがいけるみたいです。
テントは、3ヶ月前から電話のみで受け付けています。
紅葉ピーク時は、ジャスト3ヶ月前に予約してしまうのが無難です。
キャンセルは前日までOK+キャンセル料はかからないので、とりあえず予約しておくとよいかと思います。
料金は、幕営料ひとり1000円、テント1張9000円、シュラフ1つ2000円、銀マット1つ1000円です(すべて1泊分)。
わたしはシュラフとマットは持参したので、2泊分で幕営料2000円+テント4500円(8人で2張借りました)でした。
ちなみに、小屋泊での快適な過ごし方は思いつきません(汗)
予約しても、1人1枚使えるわけではないですし、「しないよりはしたほうがまだまし」程度だそうです。
涸沢で、過ごせる方法その3
【サンダルは爪先が覆ってあって固めのものを!】
テント場では、サンダルがあったほうが快適に過ごせるかと思います。
涸沢のテント場は、基本的に岩がゴロゴロしていて、よほど通路側にテントを張らない限りは、岩の上を歩いて移動します。
特に貸しテントは、大体は中腹から奥側に張られます。
柔らかいサンダルや、爪先が空いてるサンダルは結構大変なようです。
クロックスのような爪先が覆われているものを持っていくとより快適です。
涸沢で、快適に過ごせる方法その4
【魔法瓶を持っていくべし!】
涸沢はどこを見てもすばらしい景色で、広範囲で散策できます。
3000m級の日本が誇る山を見ながら、合間にお茶をするのは至福の時です。
涸沢カールのトイレと水場、ガス事情
トイレは、下山組と上に行く組が出発する頃から大渋滞です。
わたしは直前に行かないと心配で仕方ないので大渋滞でも出発前に行きますが、そうでなければ日の出が上がる前、4時半くらいに行くとよいかもしれません。
水場は無料で自由に使えるので、安心です。
ちなみに、涸沢ヒュッテの 売店に売っているガスは「Primus」なので、「SOTO」缶を使っているひとは要注意。
(涸沢小屋は確認できていません。)
涸沢カールでの夕飯(1日目)
他のメンバーが夕飯を作ってくれている間、散策しました。まだ雪が残っていました。
夕飯はジンギスカン鍋でした。
普段家でも山でも料理をしないので、これだけ豪華な山飯ははじめてでした。山の夜は早いです。
ご飯を食べて、歯磨きをしたら20時には就寝。
就寝の前にこれだけは見ないと、というのが涸沢カールの名物(?)、テントの夜景。
そして、晴れていたら深夜2時くらいに外に出て星空を見てみてください。
目に焼き付いて離れないほどの満天の星空が見えるはず。
ヘルメットは必着!
涸沢カールから奥穂高岳や北穂高岳に行く場合、ヘルメットを着用しましょう。
長野県で指定している「山岳ヘルメット着用奨励山域」からは対象外ですが、ほとんどの登山者が着用しています。
ヘルメットは、涸沢ヒュッテでも涸沢小屋でも借りられます。
2日目:涸沢カール→奥穂高岳(所要時間:4時間10分)
2日目は6時に出発しました。
残念ながらモルゲンロートは見えず。
でも明日もあるし、今日のメインは奥穂高岳・北穂高岳の縦走。
朝から気持ちよく晴れて、紅葉と穂高連峰のコントラストがたまりません。
ザイテングラードまでの1時間半は急坂はなく、ゆるゆる高度を上げていく感じなので紅葉を楽しみながら登れます。
そしてザイテングラード。ザイテングラードはドイツ語で「支尾根」「側稜」という意味だそうです。
わたしの後ろにあるのがザイテングラードです。
穂高山荘までの1時間半、下ってくるひとや抜かしていくひとと譲り合いながら上を目指します。
岩山を歩いたことがあれば、そんなに問題な箇所はありませんが、コースタイムが長いので気が抜けません。
また、登山道が狭いため、すれ違いに気を遣います。
疲れたり岩場登りが慣れていなかったりで周りが見えなくなると、渋滞の原因になるので要注意。
ザイテングラート→穂高岳山荘(所要時間:1時間10分)
ザイテングラートを抜けると、穂高山荘に着きます。
これからが本番。いきなりほぼ垂直の岩場が登場、いくつかはしごを登ります。
写真では色が同化してしまっていますが、背中らへんにちらほら見えていると思います。
岩場が大好きなので、かなりテンションが上がりました。
奥穂高岳の岩場は、それなりの高度感はありますが、はしごがあったり足場はしっかりしていたりするので、慎重に進めば問題ありません。
はしごを登りきってから山頂までは、ほぼ岩場です。
そしてついに!
憧れの山頂へ。
天気もよく、遠くの山々まで見渡せます。
服装は長袖インナー+半袖です。
20分くらいいましたが、終始この格好でいることができました。
奥穂高岳→涸沢岳(所要時間1時間20分)
奥穂高に登頂した時点で時間は10時30分。
このまま涸沢カールに戻るのはもったいない!
北穂高まで行こう!。
一緒に奥穂高岳に登った仲間は行かないということだったので、独りで北穂高岳に向かうことに。
このとき、奥穂高岳から北穂高岳までがどんなルートかを調べずに決心してしまったのはかなり未熟でした。
「山と高原地図」にある、涸沢岳から北穂高岳の間の「危険マーク」を完全にスルーしていました。
まずは山頂からいったん穂高山荘に戻ります。
奥穂高岳山頂から穂高山荘までは、下りは30分。
来た道を戻ります。
しっかりとした岩場が多いので、スピードに乗って下りられます。
穂高山荘から奥穂高岳を背にして登るコースが涸沢岳を経由し、北穂高岳に向かうコースです。
穂高山荘から涸沢岳は、ほぼ直登で30分ほどです。
危ない道は特にありません。
30分後、山頂へ。ここで、お昼休憩を取りました。
涸沢岳からの山頂からは、さっきまでいた奥穂高岳がよく見えます。
冒険家になったような気分!と、はしゃいでいられたのはここまで。
涸沢岳を出発してほどなく、ほぼ垂直の岩場が続きます。
基本的には下りが多いです。
岩場には釘が差してあり、そこを足場として降ります。
こ、怖い・・・
ここではじめて恐怖心が沸いてきました。
なんてところに来てしまったんだと思いました。
たまにすれ違うひとがちらほらいる程度で、もう自分でどうにかするしかない!状態。
はしごも鎖もなく、釘があるだけの岩場ははじめてでした。
このいちばん「ヤバい」ところは、写真を撮る余裕がなかったので、ようやく足場が安定したところで一枚。
たまにすれ違う登山者も、「ここはヤバい」と言っており、わたしだけじゃないんだと一安心。
水平な道も、幅が狭いのと高度感で立ったままでは歩けず、膝をついて歩きました。
ようやく北穂高小屋が見えたときは、安堵のため息が出ました。
北穂高小屋が見えれば、あとは山頂に立つだけ。
山頂に立ったときは、景色の美しさより恐怖から解放された安堵感の方が強かったです。
雲が晴れていれば、標識の後ろに槍ヶ岳が映ります。
このときは見えたり見えなかったりの繰り返し。
見えたときに急いで撮ったのがこれです。
いままでの道を振り返り撮ったのがこれ。
道中は来なければよかったと本気で後悔しましたが、北穂高岳の山頂に立った瞬間、「頑張って来てよかった」と心の底から思えるくらいの達成感を感じることができ、また美しい景色を見ることができました。
北穂高岳(14:15-14:30)→涸沢カール(所要時間:2時間)
北穂高岳から涸沢岳カールまではほぼ下りが続きます。
この間の写真は、渋滞+疲れで撮れず。。。
唯一撮った写真がこれです。
救助ヘリでした。落石に当たってしまったひとがいたとのこと。
北穂高岳は、滑落箇所はありませんが、急なザレ場が続くので落石に注意です。
ヘルメットもこのために着用します。
特に下りは石を落とさないように注意が必要です。
富士山の吉田ルートでの落石死亡事故は記憶に新しいと思いますが、北穂高岳は富士山よりも急で小石がゴロゴロしています。
自分のためにも他人のためにも慎重に下りましょう。
そんなこんなで、無事涸沢カールに戻ってきたときはホッとしました。
今回は自分の技術不足と経験不足を痛感し、無鉄砲さを反省しました。
その日の夜、大きな岩に寝っ転がりながら満天の星空を独りで眺めていましたが、ようやく安堵しポロポロと涙がこぼれたのは得難い経験です。
3日目:絶対見たい!涸沢カールのモルゲンロート
涸沢カールのもうひとつの目玉はなんといってもモルゲンロート!
紅葉と同様、見られるか見られないかは運次第ですが、モルゲンロートの穂高連峰は見られるまで何度でもチャレンジしてほしいほど美しいです。
3日目、下山の日にそのチャンスが訪れました!
余裕があれば、破線ルートの「パノラマコース」にチャレンジ!
今回は来た道をピストンしましたが、翌年は涸沢ヒュッテから徳沢をつなぐパノラマコースで下りました。
パノラマコースは、破線ルートになっており、残雪期の通行は不可です。
8月上旬まで雪が残っている場合があるので、夏時期に行くひとは、通行可能かどうかを涸沢ヒュッテや涸沢小屋で確認しましょう。
今回は、パノラマコースを紹介します!
涸沢ヒュッテ→屏風ノ頭(涸沢ヒュッテ→分岐:所要時間1時間10分、分岐→屏風ノ頭:50分、屏風ノ頭→分岐:40分)
涸沢ヒュッテから下山コースすぐ、横尾に向かうコースとパノラマコースに進む分岐があります。
屏風ノ頭までは岩場を上ったり下りたりする場所がいくつもあるので、ストックはないほうが便利です。
両手は空けておきましょう。
パノラマコースを進んで結構すぐ、涸沢カールが一望できるポイントがあります。
よくみる涸沢カールの紅葉の写真はここから撮ってる・・・?
すばらしい展望にテンションが上がったのも束の間、キレッキレの岩場が出てきます。
とはいえ、ロープもあるし、きちんと足元を見れば大丈夫。
そのあと尾根に出るまでの約1時間は、岩場やザレ場を上ったり下ったりの繰り返しです。
尾根に出ると、屏風ノ耳の分岐までは緩やかな登り坂です。
写真は尾根の上の方から分岐までの道を撮っています。
分岐に荷物を置いて屏風ノ耳を目指します。
急坂を登ること30分。
色とりどりのすばらしい紅葉が眼前に現れます。
この奥に見えるのが屏風ノ頭です。
時間に余裕はありませんでしたが、ここまで来たら行ってみたい。
仲間は先に戻るということだったので、独りで向かいました。
ところが、屏風ノ耳から頭は・・・こんなの道じゃない!というくらい荒れていました。
ハイマツに囲まれ、道を間違えたのかと不安なりましたが、たまに見える登山道を確かめながら進みました。
ようやく着いた屏風ノ頭には誰もおらず、ケルンがたくさん積まれていました。
天気は曇っていたものの、ここまで来たひとだけが味わえる展望です。
戻りは、屏風ノ耳の位置を確かめながら下山。
途中、再びハイマツに囲まれ、登山道を見失い闇雲に屏風ノ耳まで戻りました。
こんな大変な思いをして屏風ノ頭まで行きましたが、実はちゃんとした登山道があって間違えただけなのでは、といまでも疑問です。
屏風ノ耳からはピストンで小走りで分岐まで下り、無事仲間と合流できました。
分岐→中畠新道分岐→徳沢(所要時間:2時間30分)
ここからはストックがあったほうが便利です。
中畠新道までは、砂利の急坂がしばらく続いたあと、岩がゴロゴロした林道に入ります。
ここからは写真が一切ありません(泣)
というのも、分岐から1時間くらい下ったところの岩がゴロゴロした林道で滑った際に手のひらを負傷してしまったため写真を撮る余裕がなくなってしまいました。。。
岩と根っこがなかなかの曲者です。
途中、手を使いながら登るくらい大きな岩場をひたすら下る道が続きます。
少し前にパラパラ降った雨で濡れていて滑らないように進むのが大変でした。
中畠新道まで出ると、徳沢まで平坦な林道が続きます。
温泉情報
徳沢から上高地バスターミナルは、ハイキング気分で観光客に混じって歩きます。
ここまで来ると、最大の関心事はお風呂!
大体のひとは、ここから長い帰路に着くわけですが、自分のためにも周りのためにもお風呂に入ってから帰りたいですね。
道中にあるのは、上高地バスターミナル手前の小梨平キャンプ場にある「小梨の湯」というお風呂です。
大人600円です。
ここは温泉ではありません 。
温泉に入りたいひとは、上高地の宿泊施設で外来入浴をやっているところがいくつかあるので探してみてください。
〈上高地の外来入浴HP〉
https://www.kamikochi.or.jp/enjoy/public_baths
まとめ
2泊3日の涸沢テント泊は、天気に恵まれ、また、新たに素晴らしい山を見つけた山行となりました。
奥穂高岳から北穂高岳までの縦走は無謀でしたが、自分の限界を知れたよい経験になりました。
あとから調べてみると、北穂高岳から奥穂高岳の縦走のほうが一般的なようです。
そのルートのほうが、何かあったときも周りのひとがいる可能性が高いので、もし縦走するなら北穂高岳から奥穂高岳への縦走のほうがよさそうです。