八甲田山

八甲田山は青森県の中央にある複数の成層火山を総称した呼び名です。単独で「八甲田山」という山や峰は存在しません。

脊梁奥羽山脈の北側一体が八甲田山として区別して呼ばれています。

周辺地域は東北でも屈指の積雪地帯であり、明治時代に起きた陸軍の雪中行軍中に起きた悲惨な事故が映画化されたことで高い知名度があります。




八甲田山について・概要

八甲田山は標高1600mと、日本の山岳の中ではそれほど高いものではありませんが、天候が変わりやすく厳しい気候条件が特徴です。

フェーン現象など津軽地方全体の天気にも強い影響を与える山です。

八甲田山系全体の中央部には湿地帯があり、カルデラを含む火山としても知られています。

八甲田山は、西側と東側で大きく天候が違い、太平洋側(西側)は季節風が吹き荒れ雪が降りますが、東側はほとんど降雪はありません。

登山の人気シーズンは?

八甲田山の人気の登山シーズンは、積雪期が終わる5月から冬山へと変貌する10月下旬です。

5月には新緑、6・7・8月の夏山になると高山植物を楽しむことができ、9月中旬頃から紅葉が色づきます。

最盛期は6月以降で、かなりの登山客が訪れ賑わいます。

この山の魅力

八甲田山は最高峰である八甲田大岳からの眺望が息を呑む美しさが最大の魅力です。

また、頂上付近から内側に広がるカルデラと湿地帯もこの山ならではの景観で、非常に壮大です。

頂上まで緑に覆われ動植物も多く、生きた自然を肌で感じられる素晴らしい空間が広がります。

登山のレベル

八甲田山は、昔あった悲惨な事故の印象から難易度の高い山だと思われがちですが、実は初心者でも登りやすい山です。

コースや季節によって多少の差異はあるものの、概ね初級レベルだと思っていいでしょう。

ただし、本州最北端の高山ということで寒さへの備えが十分にしておく必要があります。

また、山の西側と東側で気候コンディションがかなり違うので、そのあたりは考慮することも忘れずに。

主な登山ルート

八甲田山は複数の山と峰の複合体ですので、コースバリエーションは豊富です。

自分の登山レベルや目的に合わせて自分なりに計画することも可能です。

ここでは人気のあるルートプランを挙げておきます。

最高峰周回ルート

八甲田山の複数の最高峰を周回するコースです。

山頂公園駅をスタート地点とし、赤倉岳・大岳・井戸岳・上毛無岱岳を周遊し、酸ヶ湯温泉でゴールします。

距離にして8.9m5時間程度で踏破できる日帰りルートです。

距離、時間ともにそれなりにありますが、山道も穏やかで整備もされているので、初心者にとっても難しいルートではありません。

酸ヶ湯基点ルート

酸ヶ湯からスタートして各岳の峰の頂上を周回し、また酸ヶ湯に戻る登山ルートです。

八甲田山の数多い絶景スポットを次々と縦走する形になる楽しいルートプランです。

標高差は800mほどで、距離にして9.5kmという初心者・中級者にはほどよい高さと長さだといえます。

5時間ほどでゴールできます。

冬山登山はできる?

八甲田山の冬はスキーやスノーボード、スノーモービルなどのアクティビティでも人気があります。

東北ならではの雪質で、雪が自然に積み上がった自然の造形物「スノーモンスター」などが見られるなど楽しみもあります。

八甲田山自体の登山レベルが低いことから、寒さに対する備えだけをしっかりしておけば、冬山であっても比較的安全です。

ただし、コースによっては天候が荒れやすい地域もあることも自覚してプランを立てましょう。

山小屋情報

  • 大岳避難小屋
  • 場所:大岳・井戸岳鞍部
  • 電話:017-734-9387
  • FAX:なし
  • 営業期間:通年(無人)

まとめ

八甲田山は本州で最北端に位置する山ですが、かなり上の方まで車でアクセスできることから、登りやすさに定評があります。

ロープウェイなども設置されていて、里山からもそれほど離れていないことから初心者が経験を積むのにも最適な山だといえるでしょう。