
宮之浦岳は鹿児島県の屋久島にある山です。標高1936m、九州の山岳の中では最も高く、西日本の中でも4番目の標高を持ちます。
黒味岳・永田岳とともに「屋久三山」と呼ばれたり、さらに周辺の峰と含めて「八重岳」と呼ぶこともあります。
古くから山岳信仰の山として知られ、山頂の巨石下には「一品宝珠権現」が祀られています。
山域は屋久島国立公園に属し、日本百名山に選定、さらに1993年にはユネスコ世界遺産に登録されています。
この記事に書いてあること
宮之浦岳について・概要
宮之浦岳は年間10000mm以上もの降水量があり、宮之浦岳及び屋久島の豊かな自然を育みます。
山麓から標高1700m地点あたりまでは深い原生林が覆い尽くし、有名な屋久杉もこの樹林に見られます。
山頂付近の1700mより上は森林限界になります。
屋久杉原始林は特別天然記念物に指定されており、ヤクザサやヤクシマシャクナゲなどの亜熱帯・亜寒帯の植物が豊富です。
ヤクシマザルやヤクシカなどの固有種をはじめとする鳥獣類の宝庫でもあります。
■登山の人気シーズンは?
宮之浦岳は、新緑や、屋久島固有のヤクザサ・ヤクシマシャクナゲなどの開花時期はもちろん、屋久島自体が世界遺産に登録されるほどの自然を持つため、一年を通じて登山・撮影・研究・観光など様々な目的で多くの人でにぎわっています。
夏場も平均気温が低く快適に過ごせ、春から紅葉の時期まで人が途絶えることはありません。
■この山の魅力
宮之浦岳は、日本屈指の観光スポット屋久島にあるだけあって、見どころ・魅力の多い山でもあります。
ま「洋上アルプス」と表現されるように、海にぽっかりと浮いたような山容そのものが、まず登攀意欲をかきたてます。
山腹は深い照葉樹林に覆われ、いたるところに花崗岩の巨石や沢があり幻想的な雰囲気を放ちます。
巨大なガジュマルの巨木や樹齢千年を超す屋久杉(縄文杉)、苔むした深い樹林は日本の他の山では感じられない不思議な世界観があります。
白谷雲水峡をはじめとする渓谷の素晴しさにも息を呑む感動が得られます。
宮之浦岳を含む、屋久島の水系は「屋久島宮之浦岳流水」と呼ばれ、名水百選に選定され、多くの人に親しまれています。
落差70mの千尋の滝の絶景にも圧倒されるでしょう。
ミソサザイ・ヤマガラ・ウグイス・トラツグミなどの多彩な野鳥を目的にやって来るファンが多くいます。
山頂は巨大な花崗岩が散乱する森林限界上の草原が広がり、中腹あたりまでの原生林とは一変する見晴らしの良い環境で、爽快な登山がすることができます。
展望もよく、黒味岳の巨石の周辺からは屋久島の風景が360度の大パノラマで見ることができます。
■登山のレベル
屋久島の登山レベルは中級程度と考えて良いでしょう。
世界遺産に登録された山岳にありがちな、遺産登録以前に整備された人工的な山道と自然保護された手付かずの山道が入り交じるようなかたちの登山道だと考えてよいでしょう。
山麓から中腹までの原生林は、景観は良いものの、歩くのには多少困難で、森林限界上の山頂も花崗岩の巨石が散在する岩場を進むのにも少し難易度の高さを感じるはずです。
ルートによってはトラバースや岩場・鎖場もあります。
■主な登山ルート
宮之浦岳は複数の登山ルートが取れます。
選択するルートによって難易度やビュースポットも違ってくるので、自分の登山レベルや観光目的によって考慮しましょう。
淀川登山口~黒味岳ピストンルート
淀川登山口をスタートし、黒味岳分かれから黒味岳へ登頂、投石平から1759m地点→1924m地点へ進み、投石平へ戻り、淀川登山口でゴール。
標高差567m、総距離13.9㎞、所要時間11時間半になります。
924m地点~辻峠1泊2日ルート
924m地点をスタートし、焼野三叉路→平石岩屋→第一展望台→新高塚小屋で宿泊。
2日目は高塚小屋から縄文杉→大王杉→ウィルソン株から楠川分かれへと進み、辻峠から分岐点→林道分岐でゴールします。
標高差1285m、総距離20.7㎞、所要時間15時間になります。
■冬山登山はできる?
宮之浦岳は冬登山を楽しむことができます。
山のある屋久島自体が南の島に位置することから周辺は温暖なですが、宮之浦岳は標高も高く、また山麓から深い樹林に包まれていることや2000m近い標高があることから、平均気温は低めです。
冬場には2mを超す積雪があるので、それなりの冬装備が必要になります。
宮之浦岳登山は、ルート距離が長くなりがちなので、できれば日帰りよりも宿泊登山をする方が無難です。
国立公園で世界遺産にも登録されていますが、山小屋周辺で野営できる場所もあります。
■山小屋情報
宮之浦岳には複数の山小屋が設置されています。
- 鹿之沢小屋
- 場所:永田岳山頂西方
- 電話:0997-43-5900
- FAX:0997-42-5905
- 営業期間:通年(無人)
■まとめ
宮之浦岳は非常に多くの見どころがあり、すべてをここで紹介することが不可能なほどです。
世界遺産に認定されていることも理由で、観光ガイドやネットでの情報も豊富にあります。
事前リサーチをして見どころをチェックし、登山プランをじっくりと立ててアタックしましょう。