幌尻岳は、北海道日高山脈の最高峰です。カムイ神話の舞台としてアイヌの人々に古くから神聖視されてきた山で、この山独特の希少植物や動物を数多く見られることでも有名です。

手付かずの自然が残り、大自然を肌で感じられる山として登山愛好家が訪れ、日本の百名山の一つとしても知られています。

山全体が日高山脈襟裳国定公園の中に位置します。




幌尻岳について・概要

標高2052mもある幌尻岳は、大雪山系とともに北海道では2000m級の山脈になります。

北海道にはもう一つ"幌尻岳"の名称を持つ「十勝幌尻岳」があることから、日高山脈の方を「日高幌尻岳」と区別した呼び方をすることもあります。

幌尻岳は交通のアクセスも悪く、また前述のように登山の難易度も高いことから、誰もが知る有名な山であるにも関わらずマニアックな存在だともいえます。

登山の人気シーズンは?

幌尻岳の登山シーズンは非常に短く、ほぼ7月・8月・9月の3ヶ月間程度です。

それ以外の時期は積雪・残雪期となり、渡渉の多さから登山には不向きなコースもあります。

幌尻岳の醍醐味である沢登りや高山植物の鑑賞をしたいのであれば、7、8月の夏山を選ぶ必要があります。

この山の魅力

幌尻岳は猛々しい山容に美しい稜線や、山腹をざっくりとえぐり取った部分に「七つ沼カール」があり、引き込まれるほどの美しさで訪れた者を魅了します。

また、希少動物のナキウサギ・クマゲラ・キタキツネを時々目にすることができるのも幌尻岳登山の楽しみの一つ。

高山植物も他の地域の山では見かけられない珍しいものを多く見つけることができます。

難易度が高いだけに頭頂にたどり着いたときの爽快感もひとしおで、壮大な日高山脈の絶景が写真では味わえない爽快感を与えてくれるはずです。

登山のレベル

幌尻岳は登山の難易度が高いことでも有名です。

日本の百名山の中でも踏破することが難しいことでも知られ、渡渉・藪こぎも多く、登山者を拒むかのような難路に次ぐ難路が続きます。

いくつかの登山ルートがありますが、ほとんどが上級者向けだと認知しておきましょう。

主な登山ルート

どのルートを選択しても安易はものは少なく、また距離も長めです。

ここでは幌尻岳を堪能できる2つの登山ルートを紹介しておきます。

額平川ルート

十数回渡渉をし、テント泊を1日しながら進むルートです。

頂上付近では花畑や七つ沼カールがあり、幌尻岳登山を存分に満喫することができるでしょう。

距離にして7.7km、5時間弱登る上級者ルートです。

稜線を進み頂上を目指す瞬間は幌尻岳登山最大のハイライトだといえます。

幌尻岳ルート

シャトルバスでアクセスできる奥幌尻橋から新冠コース分岐を抜けて頂上を目指し、戸蔦別岳を通って往復するルート。

距離が25.9kmあるので、2泊することは必須になります。

トータルで17時間弱、上級者に最適な登山ルートだといえます。

冬山登山はできる?

奥尻だけの冬は豪雪になりますが、かなりの登山愛好家がアタックします。

選ぶ登山ルートによっては山中で2泊する必要もあるので、本格的な装備と技術、ルートファインディング能力があったとしても油断のできない登山になります。

この時期に天候の読みを間違えると即遭難となってしまいます。

危険を感じたら早々に引き返す判断力も必要となります。

山小屋情報

危険度の高い幌尻岳には避難小屋も設置されています。

長距離の登山となるため、宿泊設備も整えられています。

  • 幌尻山荘
  • 場所:額平川上流五ノ沢出合 標高980m地点
  • 電話:0147-3-3838
  • FAX:なし
  • 営業期間:7月1日~9月30日頃まで営業

まとめ

北海道を含める全国の百名山の中でも屈指の難所である幌尻岳。

幌尻岳踏破を目標とされている登山愛好家も多く、古くから注目されている山です。

まずは比較的安全度の高い夏場からアタックしてみましょう。