
山ガールという言葉がブームになりましたが、日常とは違う自然に囲まれながらハイキングをしたり、おいしい山ごはんを食べたり、老若男女を問わず山の楽しみ方は人それぞれです。
登山をしてみたい、屋久島に行きたい、富士山に行きたいなど、憧れの場所へ行くために欠かせないものと言えば、靴です。
ハイキングや登山に適した靴は、アウトドア用品店で手に入ります。
メーカーによって女性専用の登山靴を開発したり、幅広・甲高の日本人向けの靴を作ったり、なかには初めてでも踏み出しやすいお手頃価格の靴もあるので、自分の目的と足に合ったものを選びましょう。
初登山を目指す女性を応援すべく、おすすめメーカー5選とおすすめ登山靴10選を提案します!
登山靴の種類と選ぶポイント
登山靴と呼ばれるものは大きく分けて3種類あります。
ローカット、ミドルカット、ハイカットです。
大体は見た感じで、靴の長さで判断ができますが、行こうと思っている山や状況によって合う種類が変わります。
まずは登山靴の3つの種類と、選ぶポイントを確認してみましょう。
登山靴の種類
登山靴はローカット、ミドルカット、ハイカットに大きく分かれます。
それぞれの特徴と、靴に合った目的地を紹介します。
ローカット
靴の長さがくるぶしまでで、靴底は滑りにくく丈夫な素材でできています。
軽ハイキング向けの靴です。
街歩きで履くような一般的な靴よりも、もう少し強度を増した造りなので、他の種類よりも軽くて履きやすい傾向があります。
整備された自然歩道の散策や、標高差300m以下程度のゆるやかなハイキングに適しています。
自然の多い観光地への旅行にも活用しやすいです。
ただし、くるぶしがカバーできていないので足首を捻りやすく、履き口から水が入ってしまう場合が考えられます。
岩場や木の根っこが露出している足元の不安定な場所や、沢沿いを歩く場合には適さないタイプです。
ミドルカット
靴の長さが足首を覆うような長さまであります。
ハイキングシューズとも呼ばれる事があります。
靴底は少し硬めで、くるぶし近くまで足首はしっかりと固定されるので、岩場やザレ場など足元が不安定な登山に適しています。
日帰りの低山から、夏の縦走登山まで幅広く使えるので、本格的に登山を始める人に向いています。
雨の中や浅瀬の沢を横断する際も、しっかり足を守ってくれるので安心です。
比較的ハイカットのものより軽く、扱いやすいかと思います。
ただし、登山上級者が行くような険しい山岳地帯には次に紹介するハイカットのものが適しています。
ハイカット
アルパインシューズと呼ばれる事もあり、くるぶしを完全に覆うような長さがあります。
テントなど重い荷物を背負って長期間の登山や雪山など、登山上級者が行くような場所に向いています。
足首が他の2種類よりも、さらにしっかり固定されるので、斜度のある急登の登り下りでも安定した歩きができます。
多少の事では動じない丈夫さを持っていますが、その分重くなる傾向があります。
コンクリートの道は疲れやすく、街歩きには向いていません。
選ぶポイント
登山靴の大まかな種類が分かったところで、次は具体的な選ぶポイント、選び方を確認してみましょう。
登山を目的とする靴選びは、日常で使う靴のように好みの見た目や流行では判断がしづらいものです。
靴の種類はさまざまで、何も考えずに買ってしまうと、登山においては身の危険に及ぶ可能性もあります。
安全で自分に合った1足をじっくり決める事が大切です。
登山の目的
まず最初の段階で考えておくといいのが、その靴を使う目的です。
登山靴の種類でもあったように、種類によって得意な場面が違います。
具体的な目的地があると、靴選びの際にアウトドア用品店のスタッフさんからも的確なアドバイスを聞く事ができます。
素材(靴全体の素材)
雨の中の登山でも快適さを保つには、靴の素材が大切です。
雨や濡れに強く、ムレにくい素材と言えば防水透湿素材です。
その防水透湿素材でもゴアテックスが大手といえます。
ゴアテックスは素材専門の会社なので、靴を製造している各メーカーにゴアテックスの製造方法などを提供しています。
アウトドア専門のメーカーがこぞって使用するほどなので、その信頼は厚いです。
靴底
登山靴と一般的なスニーカーの大きな違いはソール、靴底です。
登山靴に適した靴底は、厚さがあり、硬めで丈夫、そして滑りにくいグリップが効いています。
その靴底の代表格といえば、ヴィブラムソール(Vibram)です。
ヴィブラムソールは、イタリアのヴィブラム社が開発し、靴底専門のメーカーとして、スニーカーから登山靴まで幅広く使われています。
元を辿れば1935年、まだ革と釘で靴を作っていた時代に、イタリアで登山用に作られたのがヴィブラムソールの始まりです。
ヴィブラムソールの特徴は、機能的なデザインと、加硫ゴムというゴムと硫黄を混ぜて作られる特殊なゴムを使用している事です。
この加硫ゴムにより、強度、柔軟性、耐熱温度が増し、登山家で知らない者はいないほど有名になりました。
登山靴を扱うメーカーの中でも、靴底はヴィブラムソールを使用している場合も多く、それだけ信頼されている靴底メーカーだという事が分かります。
初めて登山靴を買う人にも安心の基準になるので、知っていて損はないポイントです。
サイズ
日常の靴選びでも重要ですが、登山靴においてもサイズ選びは超重要です。
正しい試着でじっくりと時間をかけて選びたいものです。
登山靴はアウトドア用品店で扱っているので、お店で自分の足の特徴やサイズなどを相談すると、自分に合った靴を見つけやすいです。
サイズと試着の注意点
- 登山で履くような厚手の靴下で試着する事
- 試着時はつま先が靴の先端に当たる所まで履く
- その際に、かかとに指1本の入るスペースがある事
- かかとのスペースを確認できたら、今度はかかとを靴に合わせてから実際にヒモを結んで歩いてみる
- 違うメーカーや種類、サイズも試してみる事
- 足のくるぶし周辺が、締め付けで痛くなる事があるので、細かい部分も違和感や痛みがないか確認する
おすすめ登山靴(ミドルカット)
登山靴にはローカット、ミドルカット、ハイカットの3種類がありますが、ミドルカットのおすすめ登山靴をご紹介します。
ミドルカットの靴は、初めての日帰り登山から夏山の小屋泊まりの登山でも比較的、幅広く使えるからです。
今回は、海外メーカー、日本メーカーどちらも含めておすすめメーカー5選から各2種類の登山靴を厳選してみました。
スポルティバ
北イタリア、ドロミテ山地のふもとで創業し、現在でも自然豊かな場所で数々の靴が開発され製造も行われています。
スポルティバは登山上級者が行くような過酷な環境向けのアルパインブーツが豊富なメーカーです。
靴紐ではなくダイアル式で着用できるBoa Fit Systemや、ブレーキ機能や衝撃を吸収しやすくしたソールの設計、3D FLEXという足首を固定しながらも柔軟な動きに対応できる構造など、細かい部分まで最先端の技術を盛り込んでいます。
スポルティバの代表的な登山靴といえば、トランゴ(TRANGO)シリーズです。
今では一般的になった軽量アルパインブーツのはじまりは、このトランゴだと言われています。
現在では、用途や改良によって8種類もの靴が開発され、はじめての登山者からアルピニストまで使えるものを提供し続けています。
海外メーカーではスポルティバとスカルパがよく知られていますが、個人的な見解ですが、スポルティバが合う人はスカルパがあまり合わない、反対にスカルパが合う人はスポルティバが合いにくい傾向があります。
規格の違いかと思うので、2つのメーカーが気になるようであれば両方とも試着する事をおすすめします。
スポルティバの登山靴は、ハイキング、トレッキング(TRX)、アルパイン(ALP)とレベル分けされており、製品名のGTXはゴアテックス使用を意味しています。
トランゴ TRX GTX
出典:アマゾン
- 機能:GORE-TEX
- ヴィブラムソール
- 3Dフレックスシステム
- 重量:500g(1/2ペア)
トランゴシリーズの中でも、軽いハイキングから夏の登山まで使える種類。
サーモテックアプリケーションという技術により、軽さと防水性も確保しています。
防水透湿素材のゴアテックスを靴の内部に使用し、ムレにくく、そして雨水などからしっかりと足元を守ってくれるので、はじめての登山靴でも安心です。
ミドルカットですが、スポルティバ独自の3Dフレックスシステムを導入する事で、足首をしっかり固定しながらも動きやすい構造になっています。
565GLトランゴ TREK MICRO EVO GTX
出典:アマゾン
- 機能:GORE-TEX
- ヴィブラムソール
- 高強度ファブリック
- サーモテックアプリケーション
- 3Dフレックスシステム
- 重量:575g
同じトランゴシリーズでも、夏山縦走など長距離を歩くような場面に適しています。
衝撃に強く、ブレーキ機能もしっかりとした靴底を使用し、足にフィットする内部の素材によって疲れにくい構造になっています。
トランゴ TRX GTXよりも足首の丈がやや長く、重さも増しますが、本格的な登山を目指すなら良い選択かと思います。
スカルパ
イタリア発祥の靴専門の会社です。
スカルパのメーカー名はイタリア語で靴を意味し、スカルパが生まれた地域は靴のトップブランドがひしめく場所として知られています。
ペガという種類の靴は、テニスラケットのガットの素材から作り出されました。
そんな斬新なアイデアも取り入れつつも、クラシックな温かみのある見た目もスカルパの魅力です。
SCARPA(スカルパ) カイラッシュ プラス GTX
出典:アマゾン
- 機能:ゴアテックス
- ヴィブラム・バイオメトリックソール
- 重量:550g
足首の周りは柔らかなレザー、靴底には解剖学的に考えられたヴィブラム・バイオメトリック・ソールを使用し、最初の履き心地はもちろん、履いていくうちに足に馴染んでいく感覚が人気です。
摩擦による傷みに強いヌバック製の革に、防水透湿性のゴアテックスを組み合わせています。
履きやすくて長持ちしやすく、何度も履きたくなるような落ち着いたクラシックな見た目もおしゃれです。
カイラッシュ・ライトGTX WMN
出典:アマゾン
- 機能:ゴアテックス
- ヴィブラム・バイオメトリックソール
- 重量:500g
ナイロンとスエード素材を主に使用し、女性用として開発されました。
通常のカイラッシュライトGTXはゆったりとした広めのサイズですが、WMNはもう少し女性の足に寄り添った設計です。
23cm代のサイズもあるので、足の小さな女性は必見のモデルです。
シリオ
シリオは日本の靴メーカーです。
日本人の足の特徴、長さと幅の比率など、日本人の足に合う靴を徹底的に研究し作られています。
究極の日本人向け登山靴を構成する要素は主に2つです。
3 Width Lineupという、日本人の足の長さが10に対して、幅は4という10:4の比率をベースに、さらに細かく3E、3E+、4E+と3段階に分けられています。
もうひとつの特徴はP.F CONCEPTです。
P.F CONCEPTとは、プリウス・フォルマの事を意味しており、幅、高さ、硬さの履き心地に重要な3つの要素に重点を置いた考え方です。
靴を履いた時のフィット感、歩きやすさを追求しています。
シリオは目的別に4つのレベルに種類分けしています。
ウォーキングとトラベル&カントリー、ライトトレッキング、トレッキング、マウンテニアリングの4つです。
今回は幅広タイプの3E+と4E+のおすすめ登山靴を紹介しますが、幅が狭いものが好みの場合は3Eモデルのものを探すと良いでしょう。
シリオP.F.330 3E+
出典:アマゾン
- 機能:撥水加工済スウェードレザー
- 撥水加工済ナイロン、ゴアテックス
- ヴィブラムソール、ソールの張り替え可能
- 重量:約600g
シリオのレベルでは、ライトトレッキングに分類されます。
靴下を履いた状態でシリオ専用のサイズ測定機で足の幅がほぼ10:4の人、足幅がやや広め、海外メーカーの靴でもあまり違和感がない人は3E+のシリオP.F.330を試してみる事をおすすめします。
軽ハイキングも日帰り以上の登山にも活用でき、女性に多いと言われている外反母趾に悩む人にも向いています。
全体的にゴアテックス素材を使い、靴底はヴィブラムソール、落ち着いた風合いのスウェードレザーは撥水加工されています。
靴はしっかりした硬さがありますが、スウェードレザーのおかげで外からの衝撃は柔らかな印象です。
シリオP.F.630 P.F.640
出典:アマゾン
- 機能:ゴアテックス、シリオ・ヴィブラムソール
- マルチダイレクション・アンクルフレックス・システム
- 3Dパッド
- ソール張り替え可能
- 重量:820g
シリオのレベルでは、トレッキングに分類されます。
P.F.630が3E+でやや幅広の人向け、P.F.640が4E+で幅広の人向けのサイズです。
足首をしっかりと支え柔軟な動きにも対応する構造に、日本人の足に合わせてかかとが浮かないように3Dパッドを内蔵しています。
外は丈夫で中は柔らかなヌバックレザーを使用。
価格は高めですが、春、夏、秋のハードな山行に使えるオールマイティなタイプです。
キャラバン
日本生まれのの登山靴メーカー。
1954年に日本山岳会隊のマナスル登頂のために開発された靴から始まったのが、キャラバンです。
日本人の足に合わせた幅広、甲高で、登山靴に慣れていない初心者にも履きやすいような設計になっています。
お財布に優しい価格設定も魅力的です。
キャラバン C4_03 レディース
出典:アマゾン
- 機能:ゴアテックス、メッシュポリエステル生地
- スリムシェイプ、高通気アーチインソール
- 4カラーの種類
- 重量:約470g(24cm)
フレッシュなデザインがまぶしいキャラバンのC4_03。
明るい色使いとかわいらしい見た目をしていますが、履き心地にこだわっています。
足を入れる履き口は柔らかなメッシュポリエステル、高通気性素材のインソールを使用し、ムレによる不快感を軽減させてくれます。
足首が細い女性や足が小さな人におすすめです。
キャラバン C1_02S ユニセックス
出典:アマゾン
- 機能:ゴアテックス、メッシュポリエステル生地
- EVAインソール
- 8カラーの種類
- 重量:約590g(26cm)
キャラバンの代表的な登山靴がC1_02Sです。
初めて登山靴を履く人にも使いやすいように、履き口は柔らかく、つま先はしっかり保護しながらも中はきつくなくゆったりとした作りになっています。
日帰り低山ハイキングから3000m級の本格的な登山まで頼りになる一足です。
何より機能に対して価格がお手頃なのも嬉しいポイント!カラーバリエーションも登山靴では珍しい8カラーを展開しており、気に入った色を選ぶ事ができます。
サロモン
フランスのアルプス地方で生まれたサロモン(Salomon)。
ウィンタースポーツのメーカーとして有名ですが、contagripという独自の靴底を開発し登山靴を手がけ、確実に実績を積んでいます。
海外メーカーですが、やや幅が広めに作られているタイプもあり、価格もそれほど高くなくコストパフォーマンスが良いので、初めて登山靴を買う人にも手が出しやすいです。
エックス ウルトラ 3 ワイド ミッド ゴアテックス
出典:アマゾン
- 機能:ゴアテックス、アドバンスド
- シャーチワイドフィットコンタグリップTD
- EVAフォーム、砂よけメッシュ
- 重量:410g
ゴアテックス素材を使用し、安定感があるモデル。
足首の適度な支えに、トレイルランニングシューズのアイデアも導入しているので、軽くてクッション性が高いです。
女性向けですが、比較的ゆったりとした履き心地です。
ELLIPSE 2 MID LTR GTX W
出典:アマゾン
- 機能:ゴアテックス、スエードレザー
- EVAフォーム、コンタグリップTD
- 重量:370g
女性に合う靴を目指してデザインされており、どこか優しい雰囲気に仕上がっています。
かわいらしい見た目だけではなく、防水透湿性素材のゴアテックスを全体的に使用し、靴底にはサロモン独自のContagripを備え、機能面でもしっかりポイントを抑えたバランスの良い靴です。
軽くて、価格も2万円前後と山ガールデビューにはちょうど良いタイプと言えます。
キーン
キーンと言えば人気サンダルのニューポート(NEWPORT)のメーカーとしての印象が強いかもしれません。
個性的なのに機能的なサンダルは、一度履いたらクセになります。
そんなキーンからも登山靴が販売されています。
キーンの登山靴は主に、靴のために独自開発された防湿透湿素材キーンドライ(KEEN DRY)、靴底もビブラムソールではなくキーン独自のものが使用されています。
これによって価格が抑えられ、コストパフォーマンスの良い製品を作り出しています。
ターギーIII
キーンを代表するシリーズ、ターギー(TARGHEE)です。
- 防水透湿素材キーンドライ、防水LWG認定レザー使用
- メッシュランニング、防臭加工技術CLEANSPORT NXT
- 重量:480g
ターギーから始まり、ターギーⅡ、ターギーⅢ、そしてターギーEXPと続いています。
ターギーⅢはその中でも靴底のグリップが強化されており、岩場や雨天時など滑りやすい時にも安心な設計になっています。
履きやすいですが、足にフィットしやすいように設計されているので、ややきつめに感じる人もいるかもしれません。
キーン独自の防水透湿素材キーンドライを使用し、通気性の良いメッシュを一部に組み込んでいます。
また汗などの気になる臭いを軽減させる防臭加工技術CLEANSPORT NXTも導流されています。
ピレニーズ
出典:アマゾン
- 機能:防水透湿素材キーンドライ
- 防水ヌバックレザー、防水スエードレザー
- ノンマーキングラバーアウトソール
- 重量:500.1g
おしゃれでクラシックな見た目が人気のピレニーズは、登山だけではなく街歩きとしても使える一足です。
キーン独自の防水透湿素材キーンドライに防水のヌバックレザーを使っているので、雨水が染み込む心配もありません。
大切に手入れすれば長く履けるので、革の風合いや足に馴染んでいくと愛着も増していきます。
まとめ
染み込みにくく、ムレにくい防水透湿性、硬い岩場でも負けない靴底、グリップ力、の機能はすべてのメーカーで満たしているといえます。
今回、紹介したメーカー5選は登山靴の代表的なメーカーなので、機能面では信頼できます。
比べるとすれば、登山靴を履く目的、登山レベル、サイズ、履き心地です。
履いてみた感覚と歩いてみた感覚が違う事もあるので、色々な靴を試しながら、実際に歩いてみる事をおすすめします。
頼りになるお気に入りの登山靴があれば、初めての登山も安全に楽しむ事ができます。
ぜひ自分にぴったりの靴に出会ってくださいね。