
斜里岳は北海道の東部、知床半島に位置する成層火山です。周辺は、知床火山群・阿寒火山群があり斜里岳はその真中付近、非常に美しい山体をしており、日本百名山に選定されています。
フォルムの特徴としては山頂が大きく3つに分かれており「斜里岳」「南斜里岳」「西峰」とそれぞれ名称があります。
北方領土4島を望むしゃりだけは登山の名所としても多くの愛好家に親しまれています。
この記事に書いてあること
斜里岳:概要
日本では美しい山を"富士"の名称をつけて称えますが、斜里岳もまた「オホーツク富士」「斜里富士」などと古くから呼ばれ、知る人ぞ知る美山の一つ。
東北海道のオホーツク海との境界線に位置し、ダイナミックな北海道の自然を堪能することができます。
標高1547mと、北海道の高山では標準的な高さで、冬季には完全に雪が山体を覆い尽くし色合いを変えます。
斜里岳道立自然公園内に位置することもあり整備も行き届き、周辺地域も含めて観光地としての質もかなり高いと言えるでしょう。
登山の人気シーズンは?

斜里岳の登山シーズンは6月の下旬の山開きから始まります。
季節の変わり目は天候への注意も増すことから、比較的安定した秋季の9月頃ならば登山初心者であっても安全だといえるでしょう。
10月には部分的に凍結箇所も現れるので、本州から登山される方は正しい季節感を知ることが大切です。
人気の登山スポットではありますが、天候によって難易度の変化の幅が大きいことは頭に入れておきましょう。
斜里岳の魅力
25万年以上も昔に噴火によって現在の形となった斜里岳は、成層火山特有の魅力があふれ、山頂には直径1kmにも及ぶ溶岩ドームがあります。
本州の整備しつくされた山々とは違い、手付かずの自然をダイナミックに楽しめるという登山上級者が好む側面もあり、踏破したときの喜びも大きなものになるでしょう。
長い期間アイヌの人々の生活圏であったことも、自然が破壊されずに済んだ要因でもあり、数々の神話伝説などがあることも魅力の一つです。
単に高山を踏破するだけではなく、登山途中に感じられる自然の神秘を体験できるのも斜里岳に強い憧憬を抱く人が多い理由です。
登山のレベル
季節や選択するコースにもよりますが、斜里岳登山は一般的に中級以上とされています。
古くから里道として利用されてきたコースもありますが、アスレチック感覚を味わえるようなワイルドなバックカントリーコースも存在します。
天候変化に対する知識やヒグマ出没などの危険性、また近々の地震による山体のコンディションの変化など、リスクはそれなりにあることは認知しておくことが大切です。
装備もそれなりのものが必要となります。
健脚者である程度の登山経験を持つ人ならば、それほど難しい登山にはならないでしょう。
斜里岳:主な登山ルート
斜里岳の登山ルートは大きく分けて3つあります。
選択するコースによって振り幅がかなり大きいので、少々登山に自信のある人でも最初は楽にクリアできるコースを下見を兼ねて経験しておくと良いかもしれません。
旧道(清里)コース
旧道(清里)コースは、沢伝いに進むこともあってダイナミックな自然を楽しむことができます。
いくつも出現する滝は撮影スポットとしても優れています。
いくつも渡渉する必要があるので、適切な装備が必要となります。
鎖場や斜面を行く箇所もあるので、健脚者でなければ危険なため、中級以上の方のみ選択しましょう。
標高差861m、距離4.2kmとなります。
北陵(三井)コース
うっそうと生い茂る木々を抜ける北陵(三井)コースは、登山者も少ない反面、静かに自然と植物を堪能できるコースでもあります。
部分的に険しくロープが設置されていたり、岩壁がそびえ迂回する箇所なども点在します。
標高差1098m、距離4.3kmとなります。
根北峠コース
積雪時に選択される根北峠コースは、比較的緩やかな尾根に沿っています。
雪山が好きな人に親しまれ、シーズンにはかなりの登山客が利用するコースでもあります。
ただし、あくまでも積雪時は危険が増大します。
体調や天候をよく考慮し、登山の中断をする判断力も必要です。
標高差1060m、8km弱の距離となります。
冬山登山はできる?

斜里岳は基本的に雪深くなれば閉鎖されるので、10月くらいが限度と考えてよいでしょう。
ただし、10月初旬、または開山時期でも残雪があることもあるので、雪山を楽しむことはビギナーでも可能です。
冬山にチャレンジするときは、最盛期よりもかなりルードファインディング能力が問われますので、上級者もしくは上級者同伴で登山することが大切です。
山小屋情報
斜里岳の山小屋はかなり設備が充実し、宿泊も可能で管理人がいます。
比較的最近リニューアルもされているので、山小屋の中では快適で情報収集なども密に行うことができるでしょう。
- 清岳荘
- 場所:清里町江南872番地
- 電話:0152-25-3601
- FAX:0152-25-3571
- 営業期間:シーズンのみ営業
まとめ
成層火山で脆い山体をしている斜里岳は、天候・地震などによってルートのコンディションが大きく変貌します。
事故や怪我などのイレギュラーも起きやすいので、装備と事前情報の確認は万全に整えて望むことが大切です。