羅臼岳

羅臼岳(らうすだけ)は、日本の北端、北海道の知床半島中部に位置する火山群の中の"主峰"のことを指します。

手付かずの自然を楽しめる観光地として羅臼町自体が有名なため、羅臼岳もまた知名度の高い山岳の一つとして知られています。

羅臼岳は、日本の最北端に位置するために気軽に行けないことや気候条件が厳しいことなどの難しさはありますが、山岳愛好家の憧れの山であり、多くの人が目指す山でもあります。

「日本百名山」「花の百名山」「新・日本百名山」に認定されています。

羅臼岳について・概要

羅臼岳は、2008年の正式調査により、標高は1661mです。

1990年代の大規模調査では、過去2000年間で複数回の火山活動が確認されたことで、現在でも活火山として指定されました。

最後の火山活動と認定される規模の活動があったのは1996年で、その後は活動が休止した状態ですが、活火山ランクは「B」となっています。

山頂部には溶岩ドームが形成されています。

地質的には流紋岩質や安山岩質が混ざった性質で、各地点で崩壊現象が起きている状態です。

山頂部には鐘状の火山が帽子をかぶるような形をしていて、これが羅臼岳の外見の大きな特徴となっています。

登山の人気シーズンは?

羅臼岳は、基本的には7月~9月の下旬までが安全に登山できるシーズンです。

毎年7月の第1日曜日に山開きが行われます。

紅葉のある秋山にのぞみたいのであれば9月を目処とするとよいでしょう。

冬装備のできるレベルにある登山家には冬山も魅力の一つですが、天候のリサーチは必須で季節による変貌を熟知しておくことが大切です。




羅臼岳の魅力

羅臼岳は、「日本百名山」「花の百名山」にも選定される、日本でも屈指の美しい山容を誇ります。

知床半島固有の希少植物も多く他の山にない魅力にあふれ、山頂からは北方領土を一望できる景色の素晴らしさがあります。

含硫黄ナトリウム塩化物泉で源泉が99℃にもなる羅臼温泉は、温泉愛好家にも親しまれ、登山の魅力の一つとも言えるでしょう。

もう一つ岩尾別温泉もあります。

春夏だけではなく冬季の登山客も意外に多く、ピーク時には山頂で渋滞を見せるほどです。

登山のレベル

羅臼岳の登山レベルは上級者向けだと言えます。

脆い地質の登山ルートや、天候に注意しなければならない点、またヒグマが頻繁に出没することが確認されていることから、ある程度の登山経験があるか、同程度の同伴者が必要です。

とくに魅力の多い冬山に挑むときには、自分の登山レベルをしっかりと認識し考慮しましょう。

ただし、羅臼岳は地元サポートが充実しており、インターネットでリアルな情報を得やすいので、現在では徐々に登山者が増えている現状です。

準備・装備をしっかりとしておけば、中級者程度の登山愛好家でもチャレンジできるレベルだともいえますが、毎年滑落者も出ているということも認知しておきましょう。

主な登山ルート

羅臼岳のおすすめ登山ルートは、2つの代表的コースがあります。

岩尾別温泉木下小屋からスタートする「岩尾別コース」と羅臼温泉がスタートする「羅臼横断コース」です。

目的、自分のレベルに応じて選択しましょう。

岩尾別コース

羅臼岳・岩尾別コースは、登山者が多く選択します。「ウトロコース」とも呼ばれます。

アイゼンの準備が必要なくらい上部は急な傾斜をしていますから、体力も必要となります。

上りで5.5時間、下りに約4時間の歩行時間が目安です。標高差は1400mになります。

羅臼横断コース

羅臼岳羅臼横断コースは、羅臼温泉をスタートして頂上を通り過ぎ、反対側のウトロ側へ下山するコースです。

上記の岩尾別コースよりも難易度が高く川越えポイントや雪渓などもある厳しい地形です。

上りに7時間、下りに4時間かかるので、装備の他体調管理もしっかりとできるレベルの登山愛好家向けだといえるでしょう。

標高差は1500mになります。

冬山登山はできる?

正式な山開きは7月になり、9月中旬頃までが限界となりますので、原則冬登山は不可能です。

ただし、その年の天候状態により9月でも雪が降る場合もありますので、雪山を体験することはできます。

天候不順が続くようならば、装備を再点検するか登山を断念することをおすすめします。

知床半島の天候や山の状態は本州の山岳とは異質です。標高差だけを基準に選ばないように注意しましょう。

山小屋情報

羅臼岳にある山小屋を紹介しておきます。

通年利用ではありませんが、相談次第では利用が可能になります。

  • 木下小屋
  • 場所:斜里駅からバスで1時間程度。「岩尾別」下車徒歩で約1時間
  • 電話:0152-24-2824
  • FAX:なし
  • 営業期間:6月~9月(変動あり)

まとめ

最近では外国人登山家も増えているという羅臼岳。

本州の山岳では得られない大自然を体感することができる魅了たっぷりの登山スポットです。